一人暮らしと実家暮らし。これらは対比して語られることが多いが、単身女性にとってそのどちらも大変で、ストレスのないものはない。そのどちらも暮らしているだけで十分頑張っているし、えらいのだ。
厚生労働省の調査によると、働く単身女性の3人に1人が相対的貧困だという。日本は男女賃金格差が非常に大きい国で、女性が一人で生きていく体制が整っていない国である。
そのような状況下で、女性の多くは借金をせずに身の丈に合った生活をしているようだ。中には奨学金を抱えている人もいて、生活が苦しい人も少なくないだろう。

日本では、男性と比べて女性の賃金が低い傾向にある

実家暮らし。それは誰もが望んでいるものではないと思う。実家暮らしをしている人の中には、実家を離れたくてもできない人がいる。前述の通り、女性の稼げる賃金は男性のそれと比較してかなり低くなっている。
一方で、サービス業が多いことから身だしなみが求められ、暗黙の了解による出費が多い。そもそも何十年も前に、女性はお化粧をしなくてはならないなどという決まりを作ったのは誰なのだろう。
ならば責任を取って同時に各会社には美容代を出す決まりを設けるべきだったのではないか。それもせず、無責任な話である。
また、アパレルや美容といった分野では自社製品の買い取りが求められたりもする。ただでさえお給料が低く身分も不安定なのに、なんとも酷い話である。

安い労働力には目もくれぬまま、娯楽を存分に楽しむ私たち

一人暮らし。それはあまりにセキュリティが守られていないものである。そして実家暮らしと同様に、全ての女性が望んでいる訳ではないと思う。地方には女性向けの職業が少なく、賃金が低い中、職を求めて都会に出ている女性も多くいるようだ。
賃金の低い女性はセキュリティの整った住まいに入れず、常に危険と隣り合わせである。2015年に起きた劇団員女性殺害事件は、正にその一例だろう。
では、単身女性をそのような状況に追いやっているのは誰なのだろう。それは意外にも私たちなのかもしれない。
美味しいものを食べるにもアイドルのライブに行くのにも、今は本当に何をするにもお手頃の価格で楽しむことができる。私たちはそれをいいことに、安い労働力には目もくれぬまま、提供された娯楽を思う存分に吸収している。

女性が暮らしやすい社会を創るために、できる事を考えたい

私は就職活動時、元々買う気のなかったデパートの化粧品売り場に出向き、ばっちりメイクをしてもらったまま何も買わずに面接に向かった。
今思うと図々しい話であるが、それが出来てしまうのが今の日本社会である。
私は公職に就き安定した給料を得ているが、その裏には不当に搾取した安い労働力があったのだ。私はとても悪いことをしたと思っている。
だからというのもおかしいが、こう感じるきっかけがあったからこそ、一人暮らしをする単身女性には国がセキュリティの整った住まいを提供するべきだと思うし、販売員に対する買い取りの強要は止めて欲しい。
私は関係ないではなく、同じ日本人女性がこのような環境に置かれているのが居たたまれなく心苦しい。
さあ私たちが立ち上がり、女性が暮らしやすい国を創るにはどうすれば良いのか、私たちができる事を一緒に考えていこうじゃないか。