今年こそ。必ずや決着をつけたい。
そんな犬猿の仲のお相手は、三つ下の弟。
私と弟は女男兄弟の中でもとりわけ仲が良い方だと思う。
だからこそ、何でもすぐに反応される。
「LINEのアイコン変えてくれない?」
これは2021年。私が弟から貰った言葉で一番強く心に残っている言葉だ。
私のSNSでのアイコンは決まって横顔。これはアカウントを立ち上げて以降、統一しているもので、私にとっては、一種のアイデンティティのようなものである。
それを否定された。
私だって自信をもって横顔を載せているわけではない。そんなどこか歯がゆい気持ちになった。

――決まって横顔。
これにはワケがある。

自分に自信がない私が、組織票のような形でミスター・ミスコンに出場

生まれてからこれまで、自分に全く自信を持てない。
思い出せば高校3年の文化祭のミスター・ミスコン。歴代の先輩方は学校生活でもとりわけキラキラしている。そんな人ばかりがランウェイを楽しそうに歩き、仲間がそれを盛り上げる。私には縁のないものだと思っていた。

ところがそこに、私は志半ば出場することとなった。
当時の私は帰宅部で同級生どころか後輩も少ない状況。しかし、クラスメイトや生徒会副会長としての活動を見ていた後輩からの推薦があり、半ば組織票のような形での出場であった。
生徒会員であったことから校則を守らなければいけない。そんな強い責任感も捨てられず、スカート丈はひざ下。ノーメイク。そんな状態で私は、ミスコンのステージへ立った。そんな出場者はもちろん私一人。周りのミス候補者はいつも以上にキラキラしていた。

「ミスコンなんて恥さらしだから出場辞退したほうがいい」
何気なくかけられた弟の言葉が胸に刺さる。
あのとき止めとけばよかった……。
何度も舞台袖でそう思った。

私の最大の支持者は見知らぬ人で、私を嫌う者は私をよく知っている人

そんな中、一番熱心に応援してくれたのは、私の全く知らない、見知らぬ支持者の方だった。
意外だった。家族や親しい友人は皆、ミスコンに乗り気ではなく、私の内気な性格を最大に知っている弟は最後まで猛反対していたくらいだったからだ。
このとき私は思った。
私の最大の支持者は見知らぬ人であり、私を最大に嫌う(指摘する)者は私をよく知っている人なのだと。

「憧れの人」
これは、ミスコンの間に私が頂いた言葉で心に残っている言葉だ。
この言葉に苦しいときを過ごすことももちろんあったが、それ以上に沢山の勇気をもらった。それからというもの、私は、親しみのあるミスを目標に走り続け、今に至る。
この執筆活動もその一つだ。読者のほとんどの方を私は知らない。しかし、私のことを知っている多くの方に読んで頂けることでこの活動は成り立つ。

「憧れ」の形は変われども、執筆が誰かのモチベーションになれたら

あいにく、今の私には、ミスコンのような自分の容姿を公に公表する経験をもう一度したいとは心から思えない。なぜなら今は、執筆に焦点を置き、私が何者なのかよりも、私が何かのきっかけになれば幸いと思っているからだ。だから横顔なのだ。
しかし、ミスコンが私にとって人生の中で素敵な経験の一つであったことには変わりない。そこでの経験が今日までの私をつくっている。

2022年は執筆活動を通し、これから何かアクションを起こしたい、やりたい、と思っている方の何か力になれれば幸いである。
「憧れ」の形は変われども、これからも執筆を通して誰かのモチベーションになれる日まで私は書き続ける。

今日もひと揉め。スーツケースの色に迷う私の意見に対抗するかのように無難な黒がいいと主張する弟。姉を一番知っている弟からいつの日かもらえるだろう「今の姉貴いいじゃん?」の言葉を心待ちに今日も私は執筆を続ける。
自分に自信があるから。
他者認証が欲しくて。
そんな解釈よりもずっと、自分自身を好きと言える。素敵と思える。

自分は唯一無二なんだと思える人で溢れる社会になってほしい。その実現まで私は執筆を続ける覚悟だ。
2022年、私は執筆活動を通して、まずは身近な弟が今の自分っていいな、そう思えるような毎日であってほしい。私の執筆が、彼の変わるその一つのきっかけとなったらこの上ない幸せである。これこそが、私が執筆活動を通して2022年になりたい姿だ。