かがみよかがみでは、「恋が始まらない理由」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。
今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。
◆かがみすと賞
1枚のジップロックで片付いた「大恋愛」。きっと私は忘れられる(カヌレ)
あらすじ:二人の写真や手紙を片付けてみたら小さなジップロックに収まってしまった。別れた後にはいいことばかり。確かに楽しくて、たくさんの思い出のある2年半だったのに。
◆担当編集者からのコメント
整理してしまえば思い出もジップロック一枚、という描写が、意外なほどあっけない恋の終わりをガツンと伝えてくれるエッセイでした。とはいっても書いてらっしゃるように10代の2年半は長いですよね。
でもやっぱり、二人で行ったお店や一緒に歩いた道を通ったときに、突然記憶が甦って、何とも言えない複雑な気持ちになることがあるし、2年半の日々に意味を見出したくなる瞬間がある。
ふとしたときに思い出すことで、2年半の重みがぐっと迫ります。でもそこから過去を振り返るのではなく、本来の自分を取り戻して新しいことに挑戦していくカヌレさん。次の恋が始まるために必要なのは「時間」で、ジップロックの恋の経験は、きっともっと素敵な次の恋に出会わせてくれるよ、と応援したくなるエッセイでした。
◆次点①
恋が始まらない人生があってもいい。アセクシャルの私が見つけた生き方(Aちゃん)
あらすじ:ドキドキ、キュンキュン、切なくて苦しい。そんな感情が私にはわからない。好意がある相手と付き合っているけど、一向に「恋」にならない。正直に自分の気持ちを伝えると彼は…。
◆担当編集者からのコメント
好意のどのくらい先が恋なのだろうか
素朴だけど本質的な疑問にはっとしました。恋しないからといって、感情が乏しいわけでもなければ、冷酷な人でもない、というのはその通りですよね。愛情や家族というものは一般的な型にはめなくても良いものだと改めて思いました。
Aちゃんさんがご自分のセクシャリティを受け入れ、とても前向きなラストに、私も勇気をもらいました。
◆次点②
彼はわたしを何度も殴った。そんな彼に、わたしは「恋」をしていた(焼き茄子)
あらすじ:仕事する姿が素敵で、だけど感情的ですぐ激高する彼に、わけもわからず恋をした。殴られ、首を絞められてもこれが恋だと思った。疲れ果て逃げた今でも。
◆担当編集者からのコメント
わたしはきっと、もう一生恋愛を始めることはできない。自分を見失うような、自分の確かな背骨を、心身の全てを喪失してしまうような、わたしの言う「恋愛」を。
自分を失うような、理性ではコントロールできないものが恋だというのも一面の真実ですね。全体を通して、焼き茄子さんの心の動きが伝わるエッセイでしたが、特にこの一文からは、経験した恋の迫力が感じられました!
以上、「恋が始まらない理由」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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