「お金は大切に」ってどういうこと?無駄使いしないこと?
『お金は大切に使いなさい』というセリフは、小さい頃からよく両親や周囲の人に言われてきた人も多いのではないだろうか。
じゃあ大切にってどういうこと?無駄なものを買わない、必要なものだけを買って、それらを長く使う。節約してお金を貯める。でもほんとにそれで大切にしてるってことなの?
昔より最近はモノよりコト重視、経験や体験にお金を払う人が増えてきた……なんて言われているけど、実際はまだまだモノにお金を使うタイミングの方が断然多いと思うし、お金を使うのは当たり前すぎて「大切に」なんて日々考えていられない。
そんな中で、私が使った「最高額」のお金のエピソードについて、書いていきたいと思う。
高額な奨学金。まだ返済中だけどその価値はあった
大学時代、私は月に8万円というなかなかに高額な奨学金を借りていた。4年で総額約400万円、利子がつくから返済額はさらに高くなる。
今はまだ返済中で、そこそこいい車が買えるくらいの残高が残っている。地方出身、4人兄弟の長女である私が、自分の希望する都内私立大に通うためには最初から借りるしか選択肢はなかった。
学費は親に出してもらい、あとはこの奨学金に加えてアルバイトをして日々の生活をやりくりした。
携帯アプリで家計簿を簡単につけ、一口のIHコンロと電子レンジで自炊をする日々はめんどくさいこともあったし、正直なところ実家住まいでアルバイト代はすべてお小遣い、好きな服を好きなだけ買い、月イチでホテルランチをしている裕福な友達を羨ましく思うこともあった。
でもこの月8万円のおかげで、高校時代から入りたかったサークルで楽しく活動したり、友達と旅行をしたり、月並みだが大学生として青春を謳歌できた。
時給は高いわけではなかったけど、やりくりの目安ができたことで憧れのカフェでバイトをしてみたりした。今やそこで出逢った男性と結婚もしてしまった。
私の身の丈には充分すぎるくらいのものを手に入れることができた。
高校生のとき、400万円という価値を本当に理解してなかったのに申し込んでしまった奨学金制度。でも今や、それ以上の価値があったと思える。
今あるお金で欲しいものを買うのではなく、いわゆる「前借り」する形ではあったが、時間や思い出、大事なライフイベントのきっかけを手に入れたのだ。
このケーキは値段相応の幸せを与えてくれる?と自問して買い物できるか
『お金を大切に使う』ということは、私にとってその金額と同等か、それ以上の価値を得られると納得して使うことだ。
先の奨学金の話は結果オーライなだけであって、日常生活でこれを真剣にやろうとするとなかなか難しいし、疲れる。コンビニで新作のケーキを見つけたときも、これは298円分の幸せを私に与えてくれる?と自問してからカゴに入れることになるからだ(しばしば自分の食欲や興味などに負けて買ってしまうこともあって、そんなときはプチ反省会をする)。
そんな風に欲しいと思ったものを手に取る瞬間から、私たちはモノの価値をはかり、購入するしないの選択をしているのだ。
そして、そういう積み重ねがお金を使う感覚を鍛えていくのだと思うし、そのときは正確な価値がわからないものに対しても「先行投資」を決断する手がかりになると信じている。
自分の感覚を磨いて、自分の価値観と向き合うこと。これがお金を大切に使うために必要なことだと私は思う。