私は高校時代、何の取り柄もない生徒だった。成績は悪くて運動もできない、極度に大人しくて友達もおらず、ずっと1人でいるような子だった。
そんな私は、自分とは正反対で明るく社交的で器用に何でもこなす、クラスの中心にいたIさんのSNSをずっとチェックしていた。

私は高校生の頃、担任や養護教諭に「完全否定」されてしまった

Iさんは、担任の先生に「将来教師になりたい」という話をすると、「Iさんは何でもできるし、教師向いとるわ」と言われたらしい。センター試験に失敗し、第一志望の国立大学がD判定だったが、担任の先生から「行きたい大学を受けないと後悔するから、受けた方がいい」と背中を押してもらったそうだ。
それで第一志望の受験を決意し、毎日学校に行って二次試験の小論文を添削してもらっていた。その頑張りを見て、私のことを嫌っていた1年生の時の担任には「Iさんすごく頑張っているから、もしかしたら受かるかもしれませんよ」と言われたそうだ。
結局Iさんは第一志望に落ち、私立大学に進学した。とはいえ、受験を通じてたくさんの人に肯定され、健全な精神を育むことができたのだろう。

一方、私に対する先生の態度はまったく違っていた。1年生の時の担任には完全に嫌われていて授業でも冷たい対応を取られたし、3年生の時の担任にも「私立大学を目指している」と言うといい顔をされなかった。

特に印象に残っているのが、保健室での出来事だ。私は高校2年生の時に過敏性腸症候群になり、授業に出ることすら難しい時期があった。
ある日保健室で、養護教諭に志望大学を聞かれた。それで都内の私立大学を答えると、「そんな大学、上位10%くらいの成績じゃないと行けないじゃないのよ!」「行きたい大学じゃなくて行ける大学に行くんだよ!」と完全否定されてしまったのだ。

私の実際の成績も知らないだろうに、保健室に来るような怠けた生徒がそんなにいい大学に入れるはずがないと思ったのだろう。
何も考えずに自分の思ったことをそのまま口に出しただけなのだろうが、自分が「ダメな子」として認識されていたのがはっきり分かってしまって、私はとてもショックを受けた。偏差値の低い大学名を答えていれば、「ふーん、頑張ってね(笑)」とでも返してもらえていたのだろうか。

大学のカウンセラーに「派遣社員になった方がいい」と言われた

大学時代にも同じようなことがあった。大学生活は何もかもがうまくいかず、大学の学生相談室でカウンセリングを受けていた。
大学3年生の時、就職活動を始めた話をすると、カウンセラーに呆れ顔で「あのさぁ、派遣社員になった方がいいんじゃないの」と言われた。

派遣社員なら履歴書さえ出せば仕事は紹介してもらえるだろうし、そこまで就活を頑張らなくていいので短期的に見ればとても楽な選択肢ではある。しかし正社員より待遇は劣るし、急にクビになる可能性もあるし、仕事内容も単純作業が多くキャリアアップにはつながりにくい。10年後、20年後を考えると決して楽ではないだろうし、貴重な新卒カードを捨てて安易に選ぶべき選択肢ではないはずだ。

後になぜ派遣社員を勧めたのか聞くと、「あなたは人付き合いが苦手だから、派遣社員が向いていると思った」と言われたが、どうも建前のようにしか聞こえなかった。あの呆れ顔からして、「あなたみたいな人が就活したってどうせ受からないんだから、最初から諦めて派遣社員になればいいじゃないの」と言われたようにしか思えなかった。

今思えば、カウンセリングに無関係な質問をされたこともあった。
今住んでいる部屋の家賃とか、パパ活でいくらもらっているかとか聞かれたが、カウンセリングに関係あるのかなぁ。純粋に野次馬根性で聞いたとしか思えないのだ。

先生やカウンセラーも人なので、時に素が出て、内心私をバカにしているのをはっきり認識できてしまう時がある。表向きは「あなたの味方ですよ」とニコニコしている大人の悪意に触れたことで、私は大人を信じられなくなってしまった。

私にとっての大人は年を取っただけの人。必ず人間性まで伴うとは限らない

明るくて友達が多くて勉強も運動もできる子は、褒める部分がたくさんあるので周りの大人から肯定されて育つ。そうすれば自然と、周りの大人に対して感謝や尊敬など前向きな感情を持てるのだろう。

一方、私のような内向的で友達が少なくて要領の悪い子は、率直に言うと、客観的に見て褒めるポイントが見当たらないのだろう。何も言われなければまだいいが、私のように心無い言葉をかけられることもあるかもしれない。
私のように落ちこぼれでも、運良く素晴らしい先生に出会って、周りの大人に感謝や尊敬を覚えながら健全に育っていく子もいるとは思う。ただそれは少数派で、「この子はダメだな」という大人の目をうっすら感じ取りながら育っていく子の方が多いのではないだろうか。

私にとっての「大人」は、ただ年を取っただけの人である。自分よりずっと年上だろうと、社会的地位があろうと、必ずしも人間性まで伴うとは限らない。
先生やカウンセラーなど、人を支援する立場に就いている大人でさえ、平気で無神経な発言をしてしまう。大人なんて、所詮その程度なのだ。

夜景は上から見れば綺麗だが、きらびやかな都会の街はゴミだらけで汚い。見る必要もないが、下からしか見えないものもきっとあるのだろう。