私はいつだって誰かに頼りがちだ。ちょっとでも嫌なことがあったら堪えられない。これまでたくさんの人に泣きついてきたもんなあ。
心が痛んだらすぐに「誰か!!!ヘルプ!!!」。
そうやって、私は助けを求めることができる。生きやすいタイプの人間なのかもしれない。何度も甘えて、助けてもらってきた。みんなありがとう。

すぐに助けを求める私だけど、唯一、彼氏にだけは頼ることができない

だけど唯一、彼氏にだけは頼ることができない。自分の意見を強く言ったり、素直に弱音を吐くことができなかった。
難しいよね。友人にならいくらでも自分をさらけ出せるのに、そこに恋やら愛やらが入ってしまうと途端に上手くいかなくなるんだから。
一番に理解して欲しい相手だからこそ、否定されるのが怖い。それに、いつだって支える側でありたい。あらゆるストレスを耐え抜いて、今こうして私と一緒にいてくれるんだから。

だけど、実際の私なんてそんなにいい子じゃないっての。救いようがないぐらい子供じゃん。
「どうして私が求めてる時に連絡を返してくれないの」
「どうして私の話に興味を示してくれないの」
「あなたは私が将来どうなりたいかちゃんとわかってるの」
……私、私、私、とにかく“私”なのだ!!大人になっても、未だにかまってちゃんな自分がいてうんざりする。ケンカをするときは、大体そういう自分が限界に達したときだった。孤独を振りかざして、相手を思いっきり傷つけたこともある。

私を認める誰かが、一番好きな人であって欲しいけど難しい

自分をどうしたって肯定できないとき、私を認めてくれる誰かと一緒にいたい。今どんなことに傷ついて、どんな不安を抱えてて、将来をどう考えてるのかも知ってくれて、私もまた同じように相手のことを知っている。そんな人とただただ抱きしめ合いたい。
それだけで傷は癒えてくるもの。そして“その誰か”となる人が、どうか一番好きな人であって欲しいと願っていた。

しかしそれは思っていた以上に難しい。付き合ったり別れたりを繰り返していると、自ずとわかってくる。とはいえうまく受け止められない。「理解し合うことを諦めたら楽になった」なんてよく聞くけれど、私はどうしても諦められなかった。

数年前、2年弱付き合っていた彼氏と別れた。出会いも少ないし、しばらく誰かと付き合うことはないかもしれない。だけど、晴れやかな気持ちだった。色々考えた末に、これからはひとりを楽しんでやるんだと腹に決めたから。

だけど、いくら待っても彼氏ができないと次第と落ち込んでくる(落ち込むように追い込む環境がまだそこらへんに根付いていたりする)。誰かにときめいたり、交際めいたことをしたこともあったけど、それは心の底から落ち着けるような、そういう関係性ではなかった。身を削るような恥ずかしい経験もたくさんして、それに加えて仕事のストレスだって降りかかる。
正直しんどい。そして、そのままコロナ禍で緊急事態宣言になり、彼氏どころか誰かに会うことすら難しくなった。もう疲労困憊!

弱音を吐けず孤独を感じたつもりが、彼の存在そのものに救われていた

ひとりで生きるって意外と大変だな。ユニットバスの冷め切ったお風呂に浸かりながら、数少ない彼氏たちの存在が頭に浮かぶ。

あのときだって、あのときだって、結構しんどかった。だけど全然大丈夫だった。それって、あの人が横にいてくれたからだったのか。
私は、上手く弱音を吐いたりできないことに孤独を感じていたけれど、実際は彼の存在そのものが私を救ってくれてたこともたくさんあったんだな。あんなに心を落ち着かせられたこと、久しくない。本当に大事なことって、ちゃんと失ってからじゃないと気づけないもんなんだよな。

だからって別れたことを今更惜しんだりはしないし、何ならあの時の自分に「よく決断したじゃん」って言ってあげたいよ。とはいっても、やっぱり1番理解して欲しい人がそばにいないってメンタルにくる。そりゃ付き合えるなら誰だっていいわけじゃない。次こそは自分の弱いところをちゃんと見せられる人とちゃんと付き合いたい。そんな人本当にいるのだろうか。

溺れながら伸ばした手を、掴んでくれた人。私はちゃんと生きている

この虚しさをどうやって埋めたらいいのだろう。気が付かない間に波に溺れていた。大丈夫だと思ってたのに大丈夫じゃなかった!結構深いところまで行っていて、どうやってひとりで戻ればいいのかわからない。いつだって誰かに頼ってばかりだけど、“切実に誰かを頼った”といえばこの時だったと思う。その誰かがわからないまま、必死に手を伸ばしていた。

そこからしばらく時間が経った今、私はちゃんと生きている。溺れながら伸ばした手を、掴んでくれた人がいたから。その人の、私を尊重してくれる姿勢に、ぽろっと弱音を吐き出すことができた。美しいとはいえないような私のことも受け止めてくれた。完全に冷え切った心が、温かい何かで満たされていく感覚。その人の存在に、どれだけ救われただろうか。

あー、あの頃の私に「大丈夫!」と背中を叩いてあげたい。今の私は知ってるもの。誰に頼ったらいいのかわからなくたって、手を伸ばせば誰かが必ず見つけてくれるってこと。もう少し待てば、必ず現れてくれる。だから、もうちょっとだけ頑張ろう。そう伝えてあげたい。あなたの考えを受け止めてくれる人は絶対にいる。好きな人と理解し合うことを諦める必要なんて、どこにもなかったんだと、今だったらわかるよ。