子どもがほしくないわけじゃないけど、私はこの春、異動になる

働き始めて4年目が終わろうとしている。
良くも悪くも、色々な意味で安定している職業だ。
福利厚生は申し分ないし、他の職業や一般企業に比べると、恐らく「育休」「産休」「生理休暇」なんていう、いわゆる「女子」特有の休暇だってちゃんとしている。

昨年度、26歳で2つ下の彼と結婚した。働き始めて、3年目の夏過ぎだった。
周りからだんだんと「子どもは?」「いつでも休めるね」「いつ子どもできてもいいよねー」と言われるようになった。

別に子どもがほしくないわけじゃない。どちらかと言えばほしい。
だけど、この4年で築いてきた自分の仕事の立場もある。
仕事が楽しい。自分で言うのもおかしいけれど、そこそこ評価されている方だと思う。
このままどこまでいけるか挑戦してみたい。
私の職業は新卒4年で異動がある。それ以降は大体6〜7年サイクルだ。
つまり私はこの春、異動になる。

「妊娠」という事象によって月単位、年単位で休むなんて考えられない

夫は結婚当初から「すぐにでも子どもがほしい」と言い続けている。
わかっている。わかってはいるが、そう簡単にいくものではない。
私は仕事が楽しい。もちろん楽なことばかりではない。
精神的にも体力的にも負担がかかることも多い職業だ。
それでも休みたくはない。
それも、「妊娠」という事象によって月単位、年単位で休むなんて考えられない。
仕事以外だってそうだ。
もっと色々なものを見たいし、経験したい。

幼い頃から両親の影響で、旅をするのが好きだった。
学生の頃はバイト代をコツコツ貯めて、友達と海外旅行に行った。
もちろん贅沢な旅はできないから、毎度リュック1つ、ビーサンでの貧乏旅だ。バックパッカーに近い。
就職してからもそのくせが抜けず、結婚する前に彼とした旅行もとにかく安くなるようにプラニングした。
コロナ禍で結婚したから、新婚旅行も行けぬまま、「新婚」の時期は過ぎた。
旅行先は「ペルーでマチュピチュを見ようね」「エジプトでピラミッドもありだな」なんて言っていたのに。
ペルーもエジプトも諦めきれぬまま、コロナは終わりそうにない。

「仕事」か「子ども」か、なんて選べない。どっちも叶えたい

今の日本は、女性に優しくないと思う。
「仕事」か「子ども」か、なんて選べない。
どっちも叶えたい。
子どもを産み、育てる間に仕事を休む。
その休んでいる期間が、自分にとってどれだけ恐怖な期間かを、男子は知らない。
きっと、昔に比べれば少しずつでも「男女共同参画」的な社会になっているのかもしれない。
「理解」してくれる人も増えてきているのだろう。
けれど、本質的に女子の人生に「共感」するなんて無理だ。そんなの当たり前だ。
別に、男子に全てを共感してほしい訳じゃない。

とあるTV番組を見た。パリコレに出るほどのスーパーモデルが「仕事」と「子ども」の話をしていた。
23歳で出産、半年後にはランウェイに復帰したと。
「仕事」と「子ども」を選ぶことなんてできず、どっちも全力でやった、と。
でも、ある時突然ぷつりと切れてしまった。だから3年間仕事を一切せずに「子ども」との時間を過ごした、と。

「どちらも全力でやってみればいい。それでダメならどちらかを休めばいい」
この言葉を聞いて、「仕事」か「子ども」なんて「選べるわけない」と考えていた私自身が一番、どちらかを「選ばなければならない」と考えていたことに気が付いた。
選ばなくていいんだ。

いつか日本の女性達が、「仕事」と「子ども」の二択という呪縛から解かれますように。