いま一番欲しいもの、それはズバリ「安心感」である。
仕事?プライベート?生活?何に対する安心感かと言われたら、私のお腹にいる赤ちゃんに対して、私は安心感が欲しい。

ずっと月経異常。結婚式後にまず始めたのは妊活だった

初潮以降無月経、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で高専時代からピルを服用。24歳で結婚して、25歳の秋に結婚式を挙げた後に、まず私が始めたのは妊活だった。
最初から不妊治療専門のクリニックに通い、毎週通院、3日連続でクリニックに通い詰めた日には、自分の会社が在宅勤務推奨のフレックスタイム制度を導入している会社で良かった、不妊治療に理解のある上司で本当に良かった、と心から感謝した。

私のように月経異常であり妊娠に不安を感じている場合は、初めからクリニックという選択肢があるが、初潮以降毎月生理がくる人はまずは自然妊娠から……という人が殆どだと思う。私は自分が異常なのを自覚して、クチコミ、通いやすさ、不妊治療の助成金対象かなどを検討し、いまのクリニックを選択した。

中でも印象的だったのは、クリニックで行った卵管造影だった。正式名称は、「子宮卵管造影検査」。不妊治療において必須検査項目としてあげられるレントゲンを使った子宮と卵管の検査である。
SNSで「卵管造影」と検索すると、「痛い」「辛い」「怖い」などといったネガティブな言葉ばかり並び、注射や痛いことが大の苦手な私も検査前からかなりビビっていた。

しかし、お尻からいれた座薬が効いたのか、卵管造影自体は少し重たい生理痛ほどで耐えられないほどの痛みではなかった。ただレントゲン中、院長に「左の卵管の通りがよくないね」と言われた時、「あぁ……卵管がだめなのか……手術するのかな、痛いの嫌だな」「なんて少し涙目になった。
院長から、「少しお腹、押してみるからね」の一言の後にぎゅっと圧をかけられ、再度レントゲンを撮った時「あ、無事に通ったよ、良かった良かった」と言われた時の安堵は今でも忘れられない。

通院3ヶ月で人工授精が成功。実は夫の精液検査で「厳しい」と

そして通院を初めて3ヶ月、人工授精にて念願の第一子を授かった時、エコーに映るまだ小さくて人の形すらしていない胎芽が愛おしく、好きな人の子どもを授かることができたことに涙が溢れた。

人工授精のための精液検査にて、旦那の精子が運動率、精子数ともに基準値を大きく下回っていることがわかった。院長からは「タイミングはもちろんのこと人工授精でも厳しい」と言われた数値だったので、1度目の人工授精で妊娠できたことが、奇跡のように感じた。

人工授精した後に、旦那へ男性不妊のことをどのように伝えるか悩んだ。旦那は健康そのもので風邪ひとつ引いたことがなく、本人だってまさか自分が不妊の原因の1つだなんて考えたこともないだろう。
手術しなければ改善することはないと聞き、男性不妊のクリニックを紹介していただいた。旦那はショックを隠しきれなかったもののクリニックを受診し、春に手術を予定している。
不妊は、女性だけの問題ではないと痛感した。

赤ちゃんの心拍を確認するまで、毎回ドキドキ

話は戻るが幸か不幸か、私に悪阻の症状はほぼなく、病院で心拍の確認をするまで毎回ドキドキしてしまう。妊娠して情報収集のために入れたアプリのチャットルームで、12週目までは流産の可能性が高いことを初めて知った。

胎児に問題があるとはいえ、妊娠が分かった時の喜び、エコーで赤ちゃんの心拍であるちかちかを見た衝撃、そして何より日々成長していく赤ちゃんが流産するなんて、想像を絶するだろうと思う。

周産期看護マニュアル(中井章人著)によると、流産のほとんどは妊娠12週までに起こるという。
私は今、妊娠14週目。安定期と言われる16週が待ち遠しい。
妊娠5か月目、16週最初に迎える戌の日に安産祈願をする風習がある。戌の日のための腹帯は今度の週末に旦那と選ぶ予定だ。
12週を超えたからといって、流産する確率が0になる訳ではない。妊婦検診は4週に1度になり、不安な日もある。それでも、お腹の赤ちゃんがすくすく成長していると思いたい。私も旦那も、赤ちゃんに会えるのを心から楽しみにしている。

気が早いかもしれないけれど、両親、義両親、仲の良い友達、職場の上司には7週目で妊娠していることを伝えた。この先どうなるか分からないけれど、どうなっても、お腹にいたことを早くから自分ごとのように喜んでくれた人が家族以外にも沢山いたんだよ、と赤ちゃんに伝えるために。

出産するまで、母体の私も赤ちゃんも安心だとは言い切れない。妊娠、出産は奇跡の積み重ねである。

私は、お金では決して買うことはできない安心感が欲しい。