まっすぐ進んできた教師の仕事なのに、朝が来て欲しくなかった
典型的なサザエさん症候群。今思えば鬱の手前、いや鬱だったんだろう。
18時からはとにかく朝が来て欲しくなかった。来るな来るなと何度も祈るが、無常にも時はススム。
夢を叶えたはずなのに、「大丈夫。大丈夫。何も起きませんように」そう願いながらの毎朝の通勤。
何があったわけでもないのに、涙が止まらず車から降りられなかった。
「あ、先生きたよ〜!」。そう教室から外に聞こえる声で気持ちを切り替える。
顔に笑顔の仮面を貼り付けて「おはよう!」と始まる1日のスタート。
あれ、いつから私、こんなボロボロになったのだろう。
元来、めちゃくちゃ明るいよね!うるさいわ〜!と言われる性格である。
「高校生の時に、子どもが好きだから!」「勉強は得意じゃないけれど、図工や家庭科は大好き!」、そして「大好きな友達がいる学校に行くのが好きだったから!」という単純な理由で、ただただまっすぐ教師の道を進んできた。
教員採用試験に合格するための4年間。他の学科の子が遊んでいるのを尻目に、模擬授業や実習の日々。
勉強嫌い〜と思っていても、子どもが好きだから。
自ら学校に毎週ボランティアにも行っていたのに。
こんなに心がえぐられるくらいしんどくなったのは、いつからだろう。
これまで頑張ってきたから、どれだけ罵声を浴びても、理不尽なことに一生懸命頭を下げて、陰で悪口を言われ、どうすることもできない暴れる子どもたちを目の前にしても、「安定」が保証されたレールから降りるのが怖くて怖くてたまらなかった。
「やめる=負けた」という文化である。
今までの努力が無駄になるよ?
我慢すればいいじゃん。
周りから白い目で見られるよ?
それらの言葉を繰り返し、頭の中で鳴り響くサイレンを無視して、心を殺して働いた。
もっと楽しい未来があるよ!
そう過去の自分の背中を押してあげたい。
ひとつの決心が世界を広げてくれた。悩んでいたことがウソのように
丁度1年前の今日、転職を決めた。自分で自分を幸せにしたいから。
挑戦したい夢を思い出したから。
やってみないと分からないから。
チャンスの神様には前髪しかない。
さあ飛び込もう!そう決意したのは本当に一瞬、決めたらもう迷いはなかった。
あんな悩んでいたのに笑ってしまう。
「ワクワクすることをしたらいいよ」そう言われて、やってみたいことにチャレンジしまくった教員3年目。
海外就職したかったから意地でも3年踏ん張ったけど、コロナで敢えなく白紙に。
それなら日本でできることは何だろう?
カフェがしたいな〜とふっと思ったことから、色んな人に会った。
色んなところに行った。そして色んな世界があることを知った。
私は今本当に仕事が好きで好きで堪らない。
自分の作ったもので人を笑顔にしたい。
気づけば高校生の時にあっけなく諦めたグラフィックデザイナーの夢に向かっている。
「ありがとう」
仕事を通して、こう言ってもらえることはなんて幸せなことなのだろうか。
自分の提案で素敵と笑顔になるお客様を見る度に、本当に心から嬉しくなる。
好きなものに囲まれて、好きなことを仕事にして、尊敬する同僚と切磋琢磨しながら進んでいく毎日。
世界が広いことに気づいたから、もっと遠くへ進んでやる
1年で人はこんなにも変わるのだ。
「安定=幸せ」ではない。一見幸せに見える方程式も、見方を変えればただの箱だ。
レールから降りれないと思い悩んだ。
レールを降りる人を引き止めようとネットには教員の転職は難しいという情報が溢れている。
先生は常識がないから。
そんなことないよ。
これまでがんばってきた人が気づかないうちに自分を責めて壊れてしまう。
日々の仕事量の多さ、責任の重さに、自分を振り返ることもなく進む日々。
そりゃあ、人には向き不向きがある。
たまたま私は「先生」に向いてなかった。
先生が転職という人の陰で、現場には苦しんでいる人がたくさんいることも知っている。
今苦しんでいる人に届いたらいいな。
世界は広いこと、見える世界が変わること、毎日が色鮮やかにキラキラ輝いて見えること。
自分で自分を幸せにしたいから、仕事を通して人と関わっていきたい。
仕事だから出会えるたくさんのことがある。
「仕事」ですごく苦しんだけど、こんなに笑顔で「次は何をしよう?」と人生をワクワクさせてくれるのも「仕事」だった。
“You can be anything keep moving.”この言葉に何度助けられたか。
1ヶ月後、私は「好き」と「仕事」を近づけるためにオーストラリアに旅立つ。
さて、来年の今日も私は自分を称えることができるだろうか。
未来のことは誰にもわからないけれど、行動することで何かが変わるなら、私はその可能性に賭けてみたい。
今度はあなたが変わる番かもしれない。
見方を変えて、常識を疑って、自分の好きを仕事にしよう。
あなたの小さな勇気で、笑顔溢れる人生のドアが開くかもしれない。