私は人と比べて、ずっと長い時間を1人で過ごしてきた。
高校時代、大学時代に友達が1人もできなかったからだ。彼氏も29年間できたことがなく、いわばぼっちのプロである。

ぼっちのプロである私も、1人が精神的につらくなったこともある

こんな私も、ずっと1人でいて寂しくなかったのか、精神的に不安定にならなかったかと聞かれると答えはNOだ。
特に若いうちほど交友関係が人生の大半を占める。大学時代は友達がいないとテストの過去問を手に入れられなかったりと、学業にも影響がある。クラスで友達ができなかったので結局ゼミにも入れず、学業に打ち込むこともなかった。サークルにも何度入っても浮いてしまい、すべて数カ月で辞めた。どのアルバイト先でも仕事ができず「使えない人」扱いで、同年代のバイト仲間にもまったく馴染めなかった。
精神的に不安定になり、大学3年生からは精神科に通院し、大学の学生相談室でカウンセリングも受けたが、ちっとも状況は改善しなかった。表情が暗くなり、バイト先や美容院などあらゆる場所で「大丈夫?」と言われるようになった。
今思えば、慢性的なうつ状態だったのだろう。ライブに行ったり映画を観に行ったり、1人で楽しめる趣味はあったが、何をしても虚しさが襲うばかりで、心の空洞を埋めることはできなかった。

「現実の話は?」と聞くこの子とは、もう二度と会うことはないだろう

クラスにもサークルにもバイト先にも馴染めなかった私だが、夏休みの旅行先で運良く友達ができた。その子は私と同じく東京に住んでいたので、東京でも会おうという話になった。
しかしいざ会ってみると、話すネタが全く思いつかないのだ。「最近どう?」と聞かれてまあぼちぼち……くらいに答えても、表情の暗さから私生活がまったくうまくいっていないことを見透かされているような気がした。
決定的にショックだったのが、私が芸能人で誰がかっこいいと思うか、という話題を振ると、「現実の話はないの?」と言われてしまったことだ。
女性同士の会話となると、どうしても恋バナが中心になりがちである。彼氏がいないどころか男性との接点すら一切なかった私は、何も話すネタがない。「現実の話はないの?」というこの一言が、恋愛経験のない私を馬鹿にしているように聞こえてしまった。

この子とはもう二度と会うことはないだろうと思った。そして実際にその通りになった。
せっかく自分のために時間を割いて会ってくれたのに、「私生活は何もかもうまくいかないし、彼氏もいない。私はどうせ相手にかわいそうな人だと思われているのだろう」と、自分のことで頭がいっぱいになっていた。人と一緒に過ごす時間を楽しむ感覚をすっかり忘れてしまっていた。

自分の居場所を見つけられない人には、創作系の趣味をおすすめしたい

1人ぼっちに耐えられないなら、人と出会える場に足を運ぶ、昔の友達に連絡を取って会うなど、とにかく積極的に人と会うことを勧めてくる人もいる。
しかし、自分に自信がなければ人と過ごす時間を楽しむことすらできなくなる。私自身もそうなのだが、人と話した後に「あの発言は余計だった」などと1人反省会にふけってしまい、むしろ人と会うことでストレスを溜めてしまうタイプの人もいるだろう。

1人は寂しいけど、人といても楽しくない。自分の居場所を見つけられない人には、絵を描く、文章を書く、写真を撮るなど、創作系の趣味を持つことをおすすめしたい。

私自身はエッセイを書いてnoteに投稿したり、ブログを運営したり、作品を作ってSNSに投稿したりしている。そこまで大がかりでなくても、毎日の食事をInstagramに投稿するとか、簡単なことでもいい。ツイッターだって自己表現の1つだ。
例えば、1人旅に興味があるけどさすがに寂しいかなあ、と思っている人でも、その旅行をブログの記事にするなどの目的があればモチベーションが生まれる。さらにその記事を他の人に読んでもらえれば、楽しみも倍になる。

純粋に作品だけで評価される世界が、私にとってはずっと居心地が良い

社交的ではなかろうとやっぱり1人は寂しい、どうしてもリアルな人間関係を築きたいという人もいるだろう。
創作系の趣味があれば、イベントに出展するなどリアルな人との出会いにつながるチャンスも生まれる。あなたの作品を通じて知り合った人なら、趣味嗜好が近い上、あなた自身にも興味を持ってくれているはずなので、仲を深められる可能性はかなり高いはずだ。
1人で過ごす時間を充実させれば表情も明るくなり、人と会う時にも引け目を感じにくくなる。1人の時間は、実は人間関係を充実させるためにも重要なのだ。

私は2年前に会社を退職し、今では外に出て人と会うことがまったくなくなった。自宅でできる仕事を中心に生計を立てていて、今後も外に出て働く予定はない。インターネットの世界にだけ居場所を探している。
インターネットを通じて作品を発表し続けることが、私にとっては最も充実した1人の過ごし方であり、社会とつながる唯一の手段である。
ブスだろうとコミュ障だろうと関係ない。純粋に作品だけで評価される世界が、私にとってはずっと居心地が良いのだ。