集団行動にモヤモヤ。糸が切れ、気付いたらひとり旅

大学進学後、私は「ひとり」が好きになった。
中学時代まで、「集団行動を大事にしなさい」という教育を刷り込まれていた。
当時、一部の生徒にいじめられていたため、「なんでこんな奴らとも仲良くしなければならないのか」とモヤモヤしていた。
高校時代は以前よりも集団行動を強いることはなかったが、一人でご飯を食べる、一人でトイレに行くといった行為が明らかに浮いていた。「ずっと一人の寂しい奴」と思われたくなくて、数少ない友達となるべく行動するようになり、クラスが一丸となる学校行事にも手を抜かずに参加した。

大学に進学してからも、学部の同期やサークル、バイトなどの集団で過ごすことに囚われていた。しかし、誰かと過ごす時間が多くなるに連れ、多種多様な人付き合いに疲れを感じるようになった。

大学1年の冬、何かの糸がプツンと切れた。気付いたらベトナムのひとり旅ツアーに申し込んでいた。初めて一人で飛行機に乗り、初めて一人で海外に行くのだ。

ひとりで行動できる自由と楽しさ。映画館や美術館も

当時の私からしたら大胆な行動だった。ツアーということで現地のガイドさんが付いてくれたものの、基本的には自分の意志で観光していた。
当時、旅行は「誰かと行くもの」だと思い込んでいたが、その「誰か」を気にせずに「ひとり」で行動できる自由と楽しさを覚えたのだ。

その後、私のひとり好きは加速していった。
まずは映画館。田舎の地元には映画館がなく、大学生にして初めて映画館で映画を鑑賞した。シアターは想像していたよりも大きく、当時の大ヒット作というのもありたくさんの人が座席に座っていた。そして大きなスクリーンに映像が映し出されると共に、大音量がシアターに響き渡った。
この感動が忘れられず、月一でひとり映画館を楽しむようになった。他にも美術館や博物館にもひとりで足を運ぶようになった。ひとりという身軽さもあり、1日に4つの展覧会を巡ったこともある。
美術や歴史に疎かったものの、その作品の魅力や展示物の歴史的背景などを私なりに想像したり、調べることが好きになった。

ベトナムのひとり旅を機に、それが私の1番の趣味になった。特にヨーロッパに留学していた頃は週末や長期休暇を利用して様々な国をひとりで訪れた。
現地を旅するだけでなく、事前の交通手段や宿の手配も楽しむようになっていた。コロナ禍で海外は勿論、国内も自由に旅行できなくなったが、常に私の脳内は妄想旅行中だ。

ひとりの行動範囲は広がっていく。今年の目標は焼肉・カラオケ…

ひとりで外食することにも抵抗がなくなった。
自宅近くに回転寿司屋があり、そこでひとり回転寿司デビューを果たした。タッチパネル式のメニューを眺めるだけで楽しい。カウンター席は仕切りで区切られている。チェーン店の回転寿司屋でも、自分だけの空間でお寿司を堪能できるのだ。
また、たまにひとり居酒屋もしている。安いチェーン店で黙々と飲むこともあれば、個人経営の居酒屋で店員さんと話しながら飲むこともある。お店によって異なる「一名様」の振る舞い方も覚えたと思う。

おひとりさまな私の今年の目標を宣言したい。
まずは、ひとり焼肉。集団で肉を食べるイメージだったが、誰にも気を遣わず、思い思いに肉を頬張りたい。ただ、火の扱いが苦手なので、店員さんにたくさんお世話になると思う。そして、ひとりカラオケ。私は地声が低く、歌声を聴かれるのが恥ずかしかったため、誰かと行く時は無難な男性歌手の曲ばかり歌っていた。しかし、私だって男女問わず好きな歌手の歌を思い切り歌ってみたい。カラオケは社会のコミュニケーションの場だと思っているので、その機会に向けて歌の練習をしなければ。

そういえば、もうすぐ最寄り駅近くの農場でいちご狩りが始まるようだ。いちご狩りはしたことがないので、是非行ってみたいと思う。理想は練乳を付けすぎず、いちご本来の甘酸っぱさを楽しむこと。
こちらもおひとりでチャレンジしてみよう。