コロナ禍での大学生活がスタート。航空会社に入ることを夢見た私にとっては、痛い現実。
「せっかく留学したり旅行したり、キラキラした学生生活送るつもりだったのに」と文句を言いながら、自分の部屋でオンライン授業のためにパソコンと向き合った。
大学で授業を受けられないなんて、と思っていた私だったが、意外にも部屋に篭って課題をすることは苦ではなかった。
黙々と。ただ、パソコンをカタカタ鳴らし、アルバイト先へ行き、気づいたら夜。その繰り返しが私にとっては平坦で何も考えることなく楽だった。
広島観光親善大使に応募し、選考会へ進んだものの…
ある日、大学の学生サイトに一件の案内が載っていた。呼ばれた。そこに載っていたのは「広島観光親善大使 募集案内」だ。凛とした3名の観光大使の写真が載っており、どうやら広島市の観光発信をしているようだ。
航空会社を志望していた私は、「お客様のために」という高いサービス精神を持つ航空会社と「広島市のために」という謙虚さを保ちながらも明るい地元愛で情報提供する観光大使が似ていると感じ、その魅力にどんどん吸い込まれていくのだった。
自分の実力も知らず広島市の知識もなく好奇心だけで応募し、いざ選考会へ。
壇上に上がり、さあ、自己PR。となるはずが、まさかの沈黙に。審査員に応援されるも、頭はパニック状態になり、終了。
この瞬間から私は、「自分」について知っていくのである。
経験をすればするほど、自分の「できない」に気付かされる
次の日。私は自分に何が足りないのかをひたすら考えた。「自己PRって何だろう」「自分に魅力なんてある?」と問い詰めた。
観光大使やコンテスト等に応募する人は、堂々としていて自分に自信があるように見えた。行動派の私は、自分の「出来なさ」に悔しさを覚え、ダンス部や司会・実況が練習できるサークル、広島に関係するアルバイト、SNS運用、を片っ端から始めた。
場を踏んで、経験を積み、自己分析をするのだ。おかげさまで平坦なオンライン学生生活は終わり、忙しくなった。
ところが、私はスランプに陥る。経験をすればするほど、自分の「できない」に気付かされるのであった。
マイクを持てばパニック、接客はマニュアル通りにいかないとパニック、注意受けるとパニック、フォロワーが減るとパニック、ずっと苦しみもがいていた。
もはや世の中全てが自分の敵に思えて、家から出ることすら怖くなった。
何もできない。自分の魅力にも気づけない。この時私は、「よく『お客様のために』のサービス精神でおもてなしがしたいなんて思えたな」と思った。そして広島市のことを知らないどころか、自分自身のことすらよく分からなくなってきたのだった。
私の今一番欲しいもの、それは「自分を認める力」
それから2年、いや、2年ももがき苦しみ頑張ったことは自分を褒めてやりたい。自分はどんな時に緊張を超えてしまうのか、自分とは誰なのか、何を考えて何を経験してきたのか、何となく知ってきた。そして、広島市という美しく儚い街もようやく言葉にすることができるまでになった。
しかし、私は未だに、「できないスランプ」に陥っている。これを読んでいる方は、何にも解決していないのかと思われるかもしれないが、だからこの企画に投稿したのだ。
そう、私の今一番欲しいもの、それは「自分を認める力」だ。
きっと、このように考えている方は他にもおられるのではないかと思う。もはやこの力が簡単に手に入れば、自然と他人を認められる寛容さも手に入り、平和な空間が広がるのではないかと考える。
私はこの「自分を認める力」を、これから歩む一度しかない人生の中で起こる、小さな小さな成功体験を確実に褒めることで、手に入れていきたい。
そして、もし叶うのであれば、広島を明るく盛り上げられる広島観光親善大使になる道のりが開けると嬉しい。