人生で一番地味だった小学生時代。でも、ピンク色には意識を奪われていた

今の小学生もやっているのだろうか。プロフィール帳交換。質問がたくさん並んでいて、それに答える。四月はみんながそれぞれにプロフィール帳を持ってきて配るのだ。
好きな食べ物はパセリ、好きなテレビ番組は天気予報、好きな色は水色。これが私の定番の解答。
嘘ではない。パセリのあの独特の香りを楽しむためにお肉を食べていると思っていたし、天気予報で明日の予定を決められるので、私には旅行番組のようなものだった。と、熱弁するところも含めて、今も昔も、根本的な所が地味を極めきっているのだ。
そんな地味小学生が、ピンクが好きと言うのはとても勇気がいった。有名な赤いリボンをつけた猫のキャラクターや、ハートの形も乙女ゴゴロをくすぐるものの、羞恥心の方が勝ってしまい、自分はそれ以外のものを好きと言わなければならないような決まりが出来ていた。 

小学生の時の私が人生で一番地味だった。前述以外にも、好きなことは読書、好きな芸能人はジャッキー・チェンと舘ひろし。当時の定番ミニモニやモーニング娘。、ジャニーズは微塵も気にならなかった。
けれども、女の子らしい色、ピンクには意識を奪われていた。でも、言えないのである。
自分には似合わないと思っていた。選ぶ服も水色が多く、ピンクがダメなら二番目に可愛い色をというちょっとした挑戦だった。今となってはなぜ、あれほどまでにピンクを特別視していたのか。

ピンク色のグッズに癒されることに気づいた高校時代

その答えを知ったのは、私が高校生の時。
当時の私は相変わらずジャッキー・チェンと舘ひろしが好きで、キャラクターはリラックマが好きだった。リラックマは基本は黄色い色でまとめ上げられているのだが、たまにピンクでまとめ上げられているグッズがあるのだ。
リラックマ狂のわたしは手当たり次第、グッズを集めた。その中でもピンクのものは、見るとホワホワした。定番の黄色を見ると可愛いなという感じで留まるのに、ピンクのを見ると可愛いな、に、プラスされてホワホワするのだ。
ピンクは見ているだけで癒されるんだ。そう気づいたのだ。

受験シーズン、勉強勉強で周りもピリッと緊張している時期、シャーペンはピンクを使っていた。ピンクを持っているだけで、気分が良くなるからだ。ピンクのおかげもあり、無事に受験シーズンを乗り越えられた。

今の私は自分でピンク色を選ぶ。小学生の私には考えられないことだ

もうすぐ三十歳を迎える。今の私の好きな色は茶色だ。もう水色ではない。でも、今の好きな色は、ピンクを意識して選んだ色ではない。
純粋に茶色が好きなのだ。茶色は、どの色にも合うと思っている。その協調性が、好きだ。
けれども、ファッションや、身の回りのものに、たまにピンクを選ぶ。目に入ると、気分が良くなるからだ。

小学生の私には、考えられないだろう。けれども、今の私は選ぶのだ。好きな色が茶色でも、ピンクを選ぶのだ。それだけの魅力がピンクにはある。
私はピンクが好きと言う人生ではなかったけれど、どのタイミングでもピンクを意識せずに過ごせなかったことだけは、紛れもない事実だった。