「どんないろがすき」という有名すぎる童謡が、今朝テレビから流れてきた。無心で化粧をしている私に、4歳の息子が無邪気に聞く。「ママはなにいろがすきー?」と。

ママの「好きな色」?…何色だろう。即答できなかった。えっと、「まといがちな色」は白と黒、あとは紺色、かな? しかし今息子に問われたのは、「好きな色」なのである。…それとこれとでは、なんだか話が全然違う気がした。

自分の「好きな色」をタイムラグ無しで発表する、私にとってそれは「色とり忍者」並みの難易度だった。そんな難しいことを急に聞かれても…(ブルーな気持ち)。

幼い子どもにとって「好きな色」を聞くことや、その質問に答えることは簡単だ。もはやそこには、大人がよくする「天気」の話みたいな汎用性があるのだろう。「好きな色」の話は相手を選ばないし、傷つけない。便利な話題なのだ。

そして、令和の小学生は、自由にランドセルの色が選べる時代を生きている。しかし、29歳主婦の私は今、幼稚園児や小学生のようなポジティブな気持ちで、「好きな色」を選び取れていはいない。

ピンクを選びがちな私を見て、ピンク色が好きな息子達

ちなみに、我が家の息子達に「好きな色」を聞けば、きっと秒で「ピンク!」と答えると思う。でもこれは彼らが、私に寄せているだけだ。私は紅一点の家族構成の中で、いつもなんとなくピンクを選びがちなのである(それもどうなんだろう…)。

私は実際、ピンクを選んで何かを買ったりもする。しかし本当にピンクが好きかと言われると、…うーん?私にピンクが似合っているかと問われれば、もはや沈黙するしかない。私の息子達も本当にピンクが好きなのかは、謎である。

身の回りに集まってくる色の傾向は、周囲の環境に影響されるものなのかもしれない。先に周囲に色があって、そこに自分が馴染んでいくという感覚。そこから各々「まといがちな色」が決まっていくのかも。

私が小学校に通っていた頃、指定の制服の色が紺色だった。だから私にとって紺色は、今でも「まといがちな色」だ。私が住む関西の子供服ブランドfamiliarも、紺色を基調としたデザインが多い。

また、私が小学生の頃、ナルミヤ・インターナショナルというアパレルグループの子供服が流行っていた。私は当時、DAISY LOVERS派だったので、パステルカラーの服を選びがちだった。pom ponetteが好きな女の子は水色や紺色をまとい、mezzo piano党の友達は言わずもがな。全身がピンクにまみれてお菓子の様な見た目をしていた(ちょっと羨ましかった)。

大人の色だという固定概念があったブラウンは今や私の好きな色

そんな私が子どもの頃は嫌いで、今ではよく手に取るようになった色がある。それは、ブラウン。私が初めて買った茶色いアイテムは、その頃流行っていたジョッキーブーツだった。

大学1回生になり、高校時代の友人と初めて関東に旅行に行った時のこと。私が実家から履いてきた黒のバレエシューズが豪快にぶっ壊れて、底が剥がれてしまったのだ。
私はその辺にあった、適当なシューズショップに駆け込んで、そこそこ安いブラウンのブーツを見つけた。そして勢いで購入した。

早速店員さんにタグを切ってもらい、履いてみる。そのブーツのブラウンは案外、その時の自分にハマっている気がした。壊れた黒のバレエシューズは、お店で捨ててもらった。

それまでの私の中には、「茶色は大人の色」という謎の固定概念があった。ぶっちゃけ「ババ臭い」イメージ。しかし、私はそのブーツがきっかけで、「私はブラウンが似合う年齢になったのだ」と自分をポジティブに見ることができるようになった。

考えてみれば、エクリュやテラコッタなど、ブラウンを細分化した言葉が巷で聞かれるようになったのは、ここ数年の事だ。世の中に芽生え始めていた流行と、初めて友人と行った旅行の高揚感が、私の背中を押してくれた。

その後、小物や靴、カバンといったところから、アウターに至るまで、私の身の回りには、ブラウンが少しずつ集まってきた。今の私にとってのブラウンは、本心から「好きだ」と言える色だと思う。

ブルベ冬だけど、いろんなブラウンを試して似合うブラウンを探したい

今年の春は、ブラウンがトレンドらしい。そういえば最近、街ですれ違う大学生も、全身ブラウンやベージュのワントーンコーデをしている。ナチュラルでかわいい。

ちなみに私は自分のパーソナルカラーを、ブルベ冬だと思っている。手首から浮き出る血管が青いからだ。しかし、私の瞳は茶色く、地毛の色は漆黒……。情報弱者の主婦、混乱。でもきっと、私に似合うブラウンが必ずあるはず。今さらだけど、色んなブラウンを試してみたい。

また、今は子供服(特にベビー服)界隈でも、性別を問わない茶色いくまちゃんみたいなデザインが流行っている。従来のピンクと水色に加えての、ブラウンやベージュ。こんなカラー展開が、主流になりつつあるのだ(黄色い服が少なくなっている)。
ブラウンなら、親子でトーンを合わせた服装も気軽に楽しめそう。旦那にも、ベージュのチノパンで合流してもらおうかな。

よし。今日の夕方、幼稚園から帰ってきた息子に、伝えよう。「ママの好きな色は、茶色だよ。くまちゃんみたいでかわいいから」と。だから無心でブラウンのアイシャドウを塗るのは、今日でおしまい。