わたしには小さな相棒がいる。
相棒と出会ったのは今から1年半前のこと。京都へ遊びに出かけた時、ふらっと寄ったカフェで一目惚れして購入した、容量590mlのステンレスボトルだ。
大容量サイズのボトルで、ホワイトを基調としたシンプルで上品なデザインのもの。いつも買い物では慎重派なわたしが値段も確認せずに即決した、大袈裟に言うなら運命のボトルなのかもしれない。

相棒のマイボトルはとても有能。わたしを見守り、節約に貢献

わたしは以前、医療機関に勤務していた。人間関係のストレスが原因で職場でこっそり泣いてしまうほどだった。そんな息苦しいときでも、わたしを静かに見守ってくれたのは相棒だった。
わたしが勤務中のときは、相棒はいつだって休憩室にいた。のどが渇いた時、気持ちが押し潰されそうな時、先輩から怒られた時、休憩室には相棒がいて喉を潤し、気持ちを切り替えてくれた。

ある時には、
「もう少しでお昼休憩や!頑張れ!」
「何泣いてんの!顔上げや!」
「あれはあいつが悪いから気にせんでええ」
と静かにアドバイスもくれた。もちろん相棒と呼んでいるだけで、話すわけでも動き出すわけでもないのだが。なにしろ相手はステンレスボトルなので。

でもやっぱり相棒を見ると安心する。ミルクをあげると安心して泣き止む赤ちゃんのように心が落ち着く。相棒を握りしめていると、息苦しい職場の中でも味方を見つけた気分になった。応援してくれていると。
「モノには魂が宿る」とはこのことなんだろうと思った。

それからというもの、わたしは仕事が休みの日でも相棒を常に持ち歩いていた。散歩の時、買い物に行く時、サイクリングに行く時。ついでにいうと家の中でもマグカップ代わりに使っていた。365日、1日も欠かさず相棒は白湯で満たされていた。

相棒とは多くの時間を過ごし、絆を深めた。なんといってもこの相棒、いつも温かい白湯をくれる。保温効果がすこぶる高い。ちょうどいい温度で体の乾きを潤してくれる。
相棒の長所はこれだけでなはい。今まで外へ出かけるたびに買っていたペットボトルを一切買わなくなった。当然のことながらゴミの量も減ったのだ。

そしてペットボトルを買わなくなったため余計な出費が減った。それもそうだ、毎日1本120円のお茶を買っていたら1ヶ月で3,000円は余裕で超えてしまう。1年間それを繰り返すと43,000円を超える。
数字にするとなかなかの金額。しかし相棒を使うとその問題を手助けしてくれる。

デザイン、形、手入れのしやすさなど自分が一番重視するステータスからお気に入りのボトルを決める。3,000円ほど出せば、暮らしと環境に優しい相棒がゲット出来る。

マイボトルを持つことから、脱プラスチックへの関心を深める

最近よく見かける「脱プラスチック」の取り組み。レジ袋の有料化、紙ストローの導入。4月1日から施行された使い捨てプラスチック製品の削減化。それは自然環境を守るだけでなく、健康被害のリスクも回避できる。
今後の日本を担っていくZ世代のわたしたちには、目を背けることはできない問題である。

レジ袋有料化については、最初こそ慣れないものだったが、2年ほど経った今では随分浸透している気がする。買い物に行けば、色とりどりのエコバッグに目がいく。
わたしも脱プラスチックの取り組みとして、エコバッグはもちろんのこと、スプーンやお箸などはお弁当用のカトラリーセットを使用している。
持ち歩くのはまだ慣れていないが、いずれは赤リップ、お財布、携帯、カトラリーセットの4点セットをバッグの中に忍ばせておきたいところだ。意外性で男性もメロメロだろうか?

そして相棒のマイボトルの持参。マイボトルがわたしの脱プラスチックの取り組みに関心を引き寄せた。環境に優しいマイボトルはペットボトルの削減に加え、愛着が湧いてくるとどこへ行くにも一緒に行動したくなる。

しかし、毎日使っていると相棒に傷が目立ってくる。新しいものに変えようか、と思ったが、困難や苦難をともにした相棒。簡単に手放すことは無理そうだ。