私は8年間ニートだったが、「推し活の費用を稼ぎたい!」と重い腰をあげ、ようやく会社に就職した。
しかしうまくいかず、クビになってしまった。
発達障害じゃないかと指摘され、専門クリニックに行くと、注意力が散漫になるADHDと診断を受けた。

診断を受けじっくり自分と向き合うと、かなりの注意力散漫だと自覚した。
その理由は私の脳内で「妄想・空想・創作」が常に起こっているからだ。
脳内で映画が始まったり、かっこいい写真や映像が流れたり、可愛い絵が流れたり、私の頭の中の世界は常に賑やかだ。
実際にカメラを持って撮影をしたり執筆をしたり、その類のクリエイティブな活動は好きでやっているが、それが無意識の中でも脳内に付き纏う。

一日に何度も「妄想・空想・創作」を繰り返し、トリップしてしまう

自分で1日のうちにどれだけ脳内で「妄想・空想・創作」をしているか数えてみたら、なんと確認できるだけで100回以上トリップしていた。
しかもすぐ現実世界に戻ってくるならまだいいが、平気で30分くらいそのままトリップしていることもある。
働いている時も、一生懸命だったのに「心ここに在らずって感じだよ」と言われたことも多かった。
幼少期の頃も「ぼーっとしている」とよく言われていたし、思春期は創作小説をノートにびっちり描いて授業も聞いていなかった。

でも誰しも、「学校に悪者が入ってきたけど、陰キャな自分は異能力者で、一気に制圧して一躍ヒーローになった件」と、ラノベ小説のタイトルのような空想を楽しんだことがあるはず。推しを応援するファンの間でも「推しとこういうことがしたい!」と妄想してるじゃないか。
だからこれくらいの「妄想・空想・創作」は普通かと思っていた。
いや、生活に支障をきたすレベルの1日100回は普通じゃない。

「トリップ」を控えるようにしても、時間が減ることはなかった

今は、失業手当をもらいながら、推し活の費用を稼ぎたくて新たなバイト先を探し、面接に落ちる日々。
働いていない分、ゆっくりできる時間はあるはずだが、忙しすぎてびっくりしている。
朝早起きして、資格の勉強をしたりSNSでの発信を頑張って、少し家事をしていると一気に深夜12:00を過ぎる。
何故?と思っていたが、何かをしては脳内で何か思いつき手が止まり、そのまま「妄想・空想・創作」の世界にトリップしていたのだ。

「このままじゃだめだ!」と思い、時間管理をキッチリ行い、トリップすることを控えるようにした。
訓練していくうちにトリップ癖は改善して集中力もアップした。
しかしメリハリがついたぶん、フリーダムな時間に、脳内の「妄想・空想・創作」がドバドバと溢れ出して困った。
減るわけではなく、ダムのように一時的に量を調節しているだけだった。

私は応援している推しに夢中になっているから、こういう「妄想・空想・創作」は薄れていくんだろうなと思っていた。
「推し活のためのお金を稼ぐ!」という目的のおかげで、つまらない仕事でも、働くことへの耐性や我慢癖がついたし、バックレなどはしていない。
会社をクビになった後も、失業手当の手続きができるまでは単発の派遣に出向いた。
この力を手に入れられたのはとても大きい。
ただそれと引き換えに「妄想・空想・創作」が消えているわけではなかったのだ。

推しにかかわると、クリエイト欲はさらに刺激される

それに推し活をすることは、誕生日お祝いイラストを書いたり、コスプレをしたり、オタクグッズをデコったり、もはや「妄想・空想・創作」の域だ。
推しのラジオや配信番組で、文章を書くこともその1つ。
お便りがきっかけで番組の中の会話がすすむ、また内容によっては新たな企画が誕生することもある。
自分のお便りで番組が盛り上がると、「ドーモ私が放送作家でやんす」と調子に乗るくらい嬉しい。

そして「私が好きな絵柄の推しが見たい!」と、久々に絵も描き始めた。
「いい歳こいてお絵描きなんて何してるんだろう」と思っていたが、私の推しも絵を描くタイプの人だった。推しとは共通点があるからこそ惹かれるんかと納得した。
推しに関わるとクリエイト欲がより刺激されてしまう。

だが、クリエイティビティな活動をするには「妄想・空想・創作」は必要不可欠だ。
湧き出て困るこの感覚も、クリエイト界隈では1つの武器になるかもしれない。
甘くない世界だが、こんなにも自分にまとわりつくのなら、それを活かし、いずれは仕事にしていくしか解決方法はないのかなと思う。

今は運良く、制作依頼が少しだけ来ていて、私の「妄想・空想・創作」を活かすことができている。
もちろんまだまだ勉強段階で儲けはなく、すぐには食っていけるほどのお礼をもらえるわけではない。これからもどうなるか。

「推しを応援する」という目標が、労働意欲となっている

とりあえずは推し活のためにお金を稼がないといけないのに、そんなクリエイトなことに手を伸ばすなんて、「やってることと言ってること違うじゃないか」とも言われる。
わかる。矛盾している。
もちろん、推し活のためのバイトはしていくつもりだ。
「クリエイト活動に没頭するなら推し活をやめれば?」とグサッと言われるかもしれない。
わかる。時間は有限だからね。

でも、ワガママは承知だが、それはできない話だ。
最低限食って寝るには困らない実家暮らしのため、「推しを応援する」という目標がないと、本当にまた働かなくなるだろう。8年ニートの前科が物語る。

推しがいてくれてよかったと思う。
甘ったれている私にとって、やっぱり推しは労働意欲なのだ。
大した賃金ではないけど、夢を追いながらもちゃんと働こう。
自分のクリエイトすることを仕事にできるように頑張ろう!という志と緊張感を持てる。
それにバイトをすることで自分のクリエイト活動に必要な勉強本、資料や機材も揃えられる。そこからもっとステップアップしていける。
推しを捨ててしまえば、ぼけ〜っと自分の「妄想・空想・創作」の世界にトリップしただけになってたかもしれない。

不安はたくさんある、でも推しもクリエイトすることも捨てず、この現実世界を生きよう。