ずっと捨てられないもの。
ずっと消せないもの。
それは、星になった、彼女との思い出。

私には、姉がいる。
正確なことを言えば、姉「のように慕っていた人」が「いた」。

Twitterの趣味アカウントで知り合った、1つ上の人。
FFになったのは、確か大学1年か2年の頃だっただろうか。
いわゆる「オフ会」で初めて対面したのは、大学2年生の時だったらしい(その時に撮ったプリクラが残っていたので、日付までわかってしまうのはなかなか恐ろしい)。
兄・姉がいない生粋の長女の私にとって、年の近い彼女は本当の姉のような存在だった。

会った頻度が決して多かったわけではないが、同性で年齢が近い、そして何より共通の趣味があるということで、彼女と私は意気投合した。
隣県同士に住んでいたということもあるので、私が彼女のところに行ったり、彼女が私のところに行ったりなどと行き来をしていたのを覚えている。

会う約束が流れたまま、消えてしまった彼女

1つ上の彼女が、私より先に社会人になった。
最初に入社した会社がそこそこ黒いところだったらしく、1年ちょっとで彼女は転職した。
追って、私も無事なんとか社会人に。
社会人になってからも、「このジャニーズの子可愛くない!?」「私の推しグループのメンバーですね、画像集めたんでアルバムに保存しておきますね!」などと、くだらないLINEのやり取りをしていた。

ある日、「仕事辛いんでデトックス会しましょうよ~」と私が連絡すると、二つ返事で「いいよ~やろうやろう!」となり、仕事終わりに集まる予定を立てた。
だが、約束した日、私はなかなか仕事を終わらすことができず、なくなく一旦予定を流した。
後日、改めて計画を立てようと思ったが今度は彼女が忙しく、結局デトックス会は自然消滅してしまった。
それから半年後、彼女は突然としてこの世からいなくなってしまった。

彼女との共通の友人から、彼女の訃報を聞いた。
あまりにも突然すぎて、私は目の前が真っ暗になったのを覚えている。

仕事が理由なら逃げてほしかった。LINEに残る、届かない言葉

決して返信の来ない彼女あてのLINEに、私の思いの丈をぶつけたトーク履歴がまだ残っている。
既読もつかないんだろうなと思っていたが、きっと誰かが開いてみてくれたのだろうか、既読だけはついていた(でもこの支離滅裂な文章を、誰かに見られたと思うと恥ずかしくて堪らない……)。

「正直思ったんですけど、もし仕事が理由なら、どうして逃げなかったんですか?責めているように聞こえるなら申し訳ないんですけど、だって、1回逃げたじゃないですか?逃げた、って言い方が悪いかもしれないんですけど、それしか私の中では当てはまらなくて。でも、逃げ切れない何かがあったんだろうなあって思いました」
真相は彼女の心の中にしかないので、もう二度と知ることはできない。

会えなかった半年の間に、一度でもいいから彼女に連絡を取っていれば、会っていれば、きっと思いとどまってもらえたかもしれない。
そう考えると悔いても悔い切れない。

彼女には将来を約束した相手がいたと聞いていた。
仲睦まじい様子をよくSNSで見ていた。
その彼の気持ちを思うと心が痛い。

今でも忘れない、今でも思い出す、姉のような私の友人

あれからもう4年が経った。
私も転職をし、いろいろあるけど何とか日々を過ごしている。
時々彼女のことを思い出す。
今はなかなか集まれるような状況ではないが、彼女がいれば、きっと「デトックス会しましょうよ~」なんて連絡をとり、日々の世知辛さを互いにぶちまけていたかもしれない。
というか、ぶちまけたかった。

桜の季節の前に、桜の花びらのように散ってしまった彼女。
もう一度でいいから、会いたいと願っている。