付き合うとなった時の条件について、思い浮かぶものはいくつあるだろうか。

私はこれまで、「一緒にいて居心地がいいか」「人として尊敬できるか」といった、内面でのチェックポイントがいくつかあった。外見に関して言えば、良いに越したことはないが、あんまり重要視はしていなかった。外見がタイプでも、内面の良さには敵わないと思っていたからだ。

結婚を考えられる相手が欲しい。そして出会った彼とデートを重ねた

26歳の春、私は彼氏がいない期間が半年になろうとしていた。友達以上恋人未満の人はいたが、たぶん相手はそうとしか思っていないだろうな、と感じていた。
年齢もあり、早く彼氏が欲しい。なんなら、結婚を真剣に考えられるような人を。そう思って、また新しい人と会ってみることにした。

私より8個上の男性。初めて会った時は、写真よりも可愛らしい人だなと思った。まだ表情にあどけなさがあり、童顔をさらに強調させた。
笑ったときに、歯並びはよくないな、と思った。なんなら前歯がちょっと虫歯になっていないか?と勝手に心配した。

話はお互いに自然と弾んで、2時間くらいの食事が終わった。外は雨がしとしとと降っていて、相合傘をして駅まで歩いた。
ここ最近で久しぶりの健全解散。なんだか本気で考えてくれている気がして嬉しかった。

2回目は、私が気になっていたアジアンのお店に行った。この時は、例の恋人未満の人から告白の返事がくるときで、なんだか上の空だった。でも会話の内容が同じ内容を行ったり来たりしている感じで、前回のような心地よさは感じなかった。
帰りに公園のベンチに座って、生い立ちの話とか、どんなことに興味があるのかとか、そういう話をした。向こうが私を意識してくれているというのがわかるほど、本能的になのか、まだ核心をつくような話はしたくないと思っていた。

恋人未満の関係の彼は海外へ。「早く彼氏を作ろう」と思ったが

それから、恋人未満の関係の人から、電話がきた。
海外へ異動することになりそうだと。行くことになったら続けるのは難しいと思っていると言われ、会うのはやめようということになった。
そんなこともあって、やけになっていたのかもしれない、早く彼氏を作ろうと。

3回目のデートは、彼の誕生日だった。私がよかったらお祝いさせてください、とお店を予約して誕生日を祝った。私が次の日も仕事だということを知ると、また健全解散になりそうだったから「家にいってもいい?」と聞くといいよ、と即答された。そうして初めて家に遊びに行くことになった。
私は、最近気づいたのだが、整理整頓ができない人より、掃除ができていない人が苦手だった。だから、その人がどんな風に生活をしているのかを確かめたかったのだ。

家は都心にあった。駅からだいぶ歩いたところにあり、ちょっと片付けるから待っててと言われた。しばらくして部屋に入ると、玄関には埃が溜まっていた。ふと目にしたキッチンはだいぶ汚れている。資格の合格証書を額縁に入れて壁に飾ってある。
整理はできるが、掃除ができない、苦手なタイプだった。

朝まで一緒に過ごすのは無理。「ごめん」と家を飛び出した

ソファーに腰かけるとすぐに、キスをされた。これは初めてだったが、本気でゲロの匂いがした。それ以上するのは無理だと思って照れたようなふりをして顔を離すと、「俺のこと好き?」と聞かれた。
「それはわからない、人間としてはいいなって思うけど。恋愛的に見れるか確かめたくて来た」とここまで言って、ストレートに言いすぎたなとは思った。
「なんで?!」と言われたがスルーした。シャワーに入ってくるか聞かれたから、考え事もしたくて借りることにした。

相手がシャワーに入っている間、終電は残っていないかなどを調べた。もう終電はない、始発を待つかタクシーを拾うか調べていた。朝まで一緒に過ごすのはもう無理だ、と思った。

お互いシャワーが終わったらまたキスをされたが、それもゲロの匂いがした。
もう、どう頑張っても無理!!
そう思って、「やっぱできないわ、ごめん」と言って家を飛び出した。

思い出される相手の表情と、譲れないことが明確になった夜

エレベーターを待っている時、相手が追いかけてきて怖いと思ったが、「恋愛的には見れない、本当にごめん、誕生日なのに」そう言ったら、もう追ってくることはなかった。
すぐにLINE、アプリでブロックをして、タクシーを拾うために駅の方へ向かった。終電も終わっていたから、タクシーで帰るほかなかった。

それから数日しても、たまに相手の表情がフラッシュバックすることがある。自分自身もいやな思いはしたが、相手を傷つけてしまったのは確かで、それも関係しているのだと思う。
この人を好きになれたら楽だろうな、という邪な気持ちがあったんだな、と振り返ってみて思う。

私にとってゆずれないのは、衛生面の価値観と、キスをした時の相性。これは彼氏を探すときの追加事項となった。