今までほとんど周りの気持ちを優先してばかりだった私は今、自分の気持ちを譲らない練習を少しずつしている。

「もぴはいつも優しいよねぇ」
小学生のころから大人になるまで何度、このセリフを言われてきただろうか。
自分ではそんなこと思っていなかったけれど、それはきっと私がいつも自分の気持ちよりも周りの気持ちを自然と優先し続けてきたからだと、今なら思う。

友達と遊べるだけで嬉しい私は、“譲る”側の子供だった

子供の時から私はどちらかというと、何でも“譲る”側の子供だったと思う。
例えば友達と放課後に遊ぶとき。私は両親が厳しかったから、なかなか放課後に友達と公園で遊ぶ機会が少なかった。だから、今日は遊びに行ってきていいよと母から言われると、ものすごくワクワクしたし、友達と遊べるなら私は正直、どこで何をしても嬉しかった。
だから本当は、「今日はブランコで遊びたい気分だな~」と思っても、友達が「今日はみんなで鬼ごっこしようよ」と言われたら、「うん!」と快くうなずいて楽しく遊んでいた記憶がある。

小さい頃の周りに合わせてしまう癖は中学生になっても、高校生になってもなかなか抜けなかった。
中学生の時に、部活の友達と電車に乗って映画を見に行くことになった。普段は乗らない電車や、友達だけで見に行く映画に高揚感が止まらない私。
「子供同士だけで映画行くのなんて初めてだ……!!!」
本当は今日、友達と見る作品とは別に私には見たい作品があったけど、「友達が見たいほうも、面白いかもしれないし(実際、その作品は面白かった)、このメンバーで映画に行けるなら私は何でも楽しめそう!」と、やはり自分が見たい作品よりも友達が見たい作品を優先してその時は見た。

自分の気持ちを大切にしなかったことに、違和感はなかった

高校生になり、当時1番仲の良かった友人から「お揃いのキーホルダー買おうよ」と提案された時もその提案が嬉しくて、どれにする~?と一緒に楽しみながら悩みに悩んで選んだ記憶がある。
「あ、これ、かわいい」
私はクマのモチーフにかわいいデザインが施されたキーホルダーを手に取った。
首に小さなストーンもついてるし、カバンに着けたらきっとかわいいだろうな……。
「えー、なんか子供っぽくない?こっちのほうにしようよ、大人っぽいし」
彼女は私が手に取ったものを一瞥し、そう言って花柄がデザインされた別のキーホルダーを私に見せた。
子供っぽいかぁ。まぁ、どっちもかわいいし、花柄の方が喜んでくれるなら。
そう思った私は「いいよ、それじゃあこっちにしよう」と、彼女が薦めたほうを購入し、それをお揃いで私たちはカバンに着けた。
彼女は「もぴとお揃い、嬉しいなぁ」と、すごく嬉しそうに笑ってくれていた。
私は意地でも自分が選んだ方がよかった、なんてこだわりもなかった。何より、彼女が嬉しそうなら私も嬉しいし、まぁいいか!と、思うような子供だったので、自分の気持ちを大切にしなかったことに対してそこまで違和感は抱いていなかった。

自分の意志はあるけれど、それよりも周りが喜んでくれるなら。
そういつも思いながら、今まで様々な選択を続けてきた私は、自分の気持ちを譲ることは上手くなったけど、自分の気持ちを大切にするということはいつまでも下手くそなまま大人になってしまった。
私は「優しい」訳じゃない、自分の気持ちを貫いて周りから嫌われるのが怖かっただけの小心者だと思う。

何でも私の意見を聞いてくれる彼の質問は、私に訪れた試練

そんな自分の気持ちを大切にできないまま大人になった私に、最近試練がやってきた。
それは交際している彼から「もぴちゃんはどうしたい?」とよく聞かれることだ。
今日はどこに何食べに行く?もぴちゃんは何食べたい?
今日のお休み一緒に何する?もぴちゃんは何したい?
一緒に住む件だけど、もぴちゃんはどうしたい?

彼も、もちろん自分の考えを持っているのだけど、
「俺はいつも食べたいの、ラーメンか肉って言っちゃうし」
「俺がしたいことって言ったら、ゲームになっちゃう」
「俺はすぐにでも、もぴちゃんと一緒に住みたいと思ってる」
と、自分の考えを持ち、伝えてくれつつも、いつだって私の意見を優先してくれる。

今まで自分の考えよりも周りを優先してきた私にとっては、これが本当に難しい。
私が食べたいものはこれだけど、彼もその気分かな。
私の行きたいところはあるけど、果たして彼は一緒に行って楽しんでくれるかな。
私の気持ちばかり押し付けて、彼に嫌われてしまわないかな。

ある時、彼に自分がそう思っていることを伝えてみた。
彼は、「俺はゲームとかラーメン以外のことには今まで興味持ってなかったし、もぴちゃんと一緒に行くお店も食べるご飯も、どれも新鮮で楽しいよ。もぴちゃんが食べたいものや、したいことを俺も一緒に楽しみたいの。好きな人の願いは叶えたいでしょ。逆に思っていることがあるのに、無理して俺の意見優先されるほうが嫌だよ」と、その後言われた。

自分の気持ちを伝えることも、やっぱり大切なんだ

そして最近、ほとんど譲ってばかりだった私は、自分の気持ちを譲らない練習を始めた。
相手のことを気にしすぎて、優柔不断になりがちな私の「えーと、どうしようかなぁ」を彼は何度聞いただろうか。でも彼と出会ってから、知らず知らずのうちに自分の気持ちを大切にできていなかった私に気付けた。
最近は友人と食事に行くときも、「そういえば、ここに行ってみたいんだよね」と私が勇気を出して言ってみると、「そこ私も気になってたー!行こうよ!」とすんなり自分の気持ちが優先された。
彼には私のしたいことや食べたいものを伝えて、一緒にテーマパークに行ったり動物園に行ったりもした。彼も今まで行ったことない場所に行けてすごく楽しいと喜んでいたから、自分の気持ちを伝えることもやっぱり大切なんだなと、遅すぎる発見をした。

きっと、今私の周りにいる人たちは、私が自分の気持ちを譲らなかったとしても、簡単に離れていくような人たちではないと思う。だって、昔の周りを優先してばかりいた私の周りにいた人たちは、いつの間にか疎遠になってしまっているのだから。時々は自分の気持ちを譲らないということも大事だったのかもしれない。
まだまだ相手の考えと自分の考えのはざまに揺れて優柔不断な私だけど、相手の気持ちに寄り添いながらも、もっと自分の気持ちも大切にしてあげよう。譲ってばかりだったけど、譲らない練習もこの調子で少しずつやっていけたらいいな。