8年の交際を経て結婚。上手く回っていた関係はコロナで変わった
恋愛において、私は相手に依存しがちで、重い女と評される人間である。好きな人とは四六時中一緒にいたい。友達より恋人を優先するし、相手にも同等の重さを求めがち。
高校生の時に、初めて交際を始めた。その人と8年間続いて結婚した。喧嘩もするが仲のいい関係を続けられていたと思う。
彼は比較的、ひとりの時間を大切にする人だ。多趣味だし、日頃のストレスをそれらに没頭することで癒すタイプ。それを「一緒にいたい」と言う私によく付き合ってくれた、本当に頭が下がる。
学生の頃はお互いの部活が忙しかったが、たまに合う休日は私のために使ってくれた。社会人になるとふたりとも土日休みだったし、そもそも同棲をしていたから四六時中べったり。
それでも、それぞれの友人や職場の人と遊んだり食事したり、日々はうまく回っていた。
変化したのは、子どもが産まれてから。ちょうど、コロナ禍という言葉が世に広まった時期だった。
感染対策に気を使いながら0歳児を育てるのは、初めての育児という負荷を更に重いものにした。親となった我々は外出を極力控え、必死に授乳とおむつ交換と寝かしつけを繰り返した。
彼からのSOSを受け取った私の結論は「ひとりの時間」の選択
「ひとりの時間が欲しい」
このところ、夫の雰囲気が重いことには気づいていた。在宅ワークなこともあり、ほとんど外に出ないで育児にかかりきり。子どもがやっと寝たら、今度は私が構って欲しいと言うのに対応する。
趣味の時間が取れず、ストレスが溜まっていた。解消できず、潰されそうになった彼からのSOSだった。
話し合いは難航した。子どもが寝たあと、一緒にいるかひとりの時間とするか。ひとつに選ぶと、私か夫、どちらかのストレスとなる。日によって、という案も出たが、それを意識することが疲れるという風になった。
私は10年以上、彼に「一緒にいたい」を強いてきた。昔はそんなに負担になっていなかったようだが、今はもう違う。環境が違い過ぎる。
結論は、子どもが寝たらひとりの時間にする。それまでは寝かしつけも半々に行っていたが、私が担当することにした。寝かしつけた後、リビングに戻ってくる夫の顔を見たら一緒にいたくなってしまうから。
ひとりの時間が取れるようになり、彼のストレスは軽減されたように感じる。たいてい、自室で映画や読書、ゲームなどを楽しんでいるようだ。
反対に、私は寂しかった。私のことより趣味を取った、と八つ当たりな考えも頭をよぎった。
平気だと自分に言い聞かせ、私の中で彼の存在を薄くした
夜中にひとり、お酒を傾けながら物思いにふける。
一緒にいたいという気持ちを持っていると、それが満たされなくて辛い。なら、そう思わなければいい。欲求に蓋をして見ないようにした。最初は夜になると喉の奥がきゅっとなったけど、無視して自分に言い聞かせた。
私は夫と離れてても平気、と。少しずつ、私の中の彼の存在を小さく薄くしていく。
幾たびの夜を重ね、もう何も感じなくなった。全然、ひとりの時間でいい。あれだけ夫にべったりだったのが、今ではできる気がしない。依存しているくらいに夫に執着していたのに。大好きが薄まって、恋焦がれる私は消えてしまったようだ。
家族や人生のパートナーとしての信頼感は揺らいでない。愛や情は多分にある。恋していなくても、大切な人だけど。
だけど、心の奥底、蓋の下はまだちょっと痛い。