「処女なの?20才で処女はないわ~。重いよね」
上京して1年目かそこらの20歳の夏。
当時付き合っていた恋人に私は呪いをかけられた。それをきっかけに彼は私との連絡を絶った。
安居酒屋で酔っ払った勢いで告白した性事情。私は「処女」だということを恥じ、男性不信に陥ることになったきっかけだった。

楽しくなるほどに、「また同じような悲劇が」と怯えた

早く「処女」を捨てなければ。
気がつけば四六時中、その事ばかりが頭を占めるようになった。
合コンにも積極的に参加し、若さと有り余る時間だけを味方につけ、優しそうな年上の人を慎重に選び恋愛とも呼べぬような恋愛を始めた。
何回かデートを繰り返すうちに思い出すのは元カレの呪いの言葉だ。
楽しくなればなるほどに、また同じような悲劇が訪れるのではないかと怯えた。

「ごめん、もう会えない。別れよう」
いつも別れを切り出すのは私の方で、それも楽しい時期のちょうど絶頂期。
私の元カレの人数だけがイタズラに増えていき、経験人数のメーターだけが0のままから動かない。
友人には「また別れたの?もう、別の彼氏がいるの?!ねえ大丈夫?」と何度か心配された。
もともと私は真面目なほうで、それだけに男をとっかえひっかえしている変わりように驚いていた。

一緒にいると癒され、尊敬でき10以上年上の男性と出会って

きっかけがあった訳ではないが、精神的に限界がきて、私は1年ほど誰とも付き合わなくなった。
呪いは続いていたが、その頃には別れて随分たっていたので効力も薄まりつつあった。
秋になり、私は知人の紹介で10個以上年上の男性とデートした。
はじめは乗り気ではなかったが、いざ会ってみると爽やかで親切な人だった。
10個以上年下の私にもきちんと敬語を使い、話し方や間の取り方がとてもうまく、家がお互い近いのでそこから週に何回かご飯を食べにいくようになった。
出会って2週間。すでに会う回数は片手を超えており、彼からの告白で付き合うようになった。
一緒にいると癒されたし、物事についての考え方や仕事の取り組み方、真摯で恋人である前に尊敬できる人であった。

迎えた初めての夜。想像していた反応と違うことに拍子抜けした

付き合って1ヶ月が過ぎ、初めての夜を迎えた。
好きになればなるほど、処女であることを打ち明けられないまま、その日はやってきた。
「処女」「重い」。たった2つのワードが私を再び苦しめる。
彼がコンドームを買いに出掛けて帰ってくると、私が寝室で泣いていたので驚いたようだった。
「どうしたの?もしかして嫌だった?」
「体調悪い?」
どこまでも優しくて、優しくされればされるほどに辛かった。私は意を決して伝えることにした。
「あのね。私……処女なの。重いかな」
少し驚いたような様子だったが、
「あっ、そうなんだ。やっぱり怖いよね。もう少ししてから心の準備ができたらしよう」
「嫌じゃない?重くない?」
私は彼の想像していた反応と違うことに拍子抜けした。
「全然重くないよ。逆にその年で経験豊富だったらちょっと怖いけど」
その言葉にどれだけ救われたかわからない。
私の呪いはたちまちに雲散霧消した。

その後、私の女性器はなかなか強情でなにも通せないほどだったが、半年かけて彼による「工事」の末に無事に貫通したのだった。