女性として社会に溶け込まなければいけない重圧。日本は生きづらい

「日本って生きづらい」
そう思いながら、私は、大学生の頃、海外留学に行った。

私は、典型的な日本人ではない。
身長は平均より少し高めで、「細身のかわいい女の子」というより「ハイヒールにかきあげた前髪、ノースリーブのトップスを着る海外風の女の子」だ。
日本生まれ日本育ちだけれど、大学に入るまで留学せずに努力で英語を上達させた。
洋楽を聞きまくって、洋画を見まくって身につけた英語を話す度に、
「発音良いよね、本当に純ジャパ(純ジャパニーズ)?」
「英語上手だから、性格も海外の人みたいにサバサバしてるよね」
と言われることが嫌だった。

「日本人の女性」として日本社会に溶け込まなければならない重圧を、大学生で感じていた。
だから、生きやすさを求めて、海外で過ごした。

留学先で出会った彼氏とは、3年も付き合った。
そのうち2年半近くは1万kmも離れた遠距離恋愛だった。
「結婚するかもしれない」
そう思って、国際結婚のメリットもデメリットも全て受け入れるつもりで、色々と調べてみると、理不尽だと思うことが多かった。

夫婦同姓を義務付けているのに、外国人との結婚では別姓可

夫婦同姓の原則は、戸籍を持つ日本人同士の夫婦にしか適用されない。
逆に、戸籍を持たない外国人と結婚した場合は、夫婦別姓が基本。
「外国人との婚姻による氏の変更届」を婚姻成立後6か月以内に役所に出さなければ、家庭裁判所の許可が無いと日本人がパートナーの外国人の名字に変えることができない。

日本人と結婚すれば、強制的に夫婦同姓。
外国人と結婚すれば、わざわざ書類を提出しないと、夫婦同姓になれない。
国際結婚が珍しくなくなった現代において、どの国籍の人と結婚するかによって、夫婦別姓の自由が奪われるなんて、不公平だ。

夫婦同姓を法律で義務付けている国は世界で日本だけ。
いわば、世界の非常識。
旧姓を様々な場面で使用できるようにすれば、選択的夫婦別姓は必要ないと考える人もいる。
だけど、一歩日本を出れば、「旧姓を使用しなければいけない必要性」は全く理解されない。

「仕事には、結婚する前の名字を使いたい」という日本人の声に対して、例えば、選択的夫婦別姓が法律上可能な国の人なら「それなら結婚するときに名字を変えなければ良かったのに」と思うだろう。

「単独親権」が生む負のサイクル。夫婦や家族のあり方に自由を

海外に住むと、それまで自分の「スタンダード」だった考え方が、国によっては「非常識」であることを知る。
「離婚したら親権は片方の親だけ」が普通だった私にとって、「原則共同親権」の国の相手と、国際恋愛&遠距離恋愛をして、気付かされたことがある。

離婚しても、生まれた子供の親であることは変わらないのに、なぜ片方の親だけが「親権」を有し、もう片方の親はまるで子供はいなかったかのように生活を送り、子どもに会うのは数か月に1回という頻度になるのか。
単独親権だからこそ、シングルマザーの貧困化と負のサイクルが発生すると思う。
男女間の給与差が根強く残る、女性の社会進出が進んでいない日本は、どんな学歴、職歴を持つ女性であっても、「一人で子どもを育てられる」環境にはなっていない。
幼い子どもがいる女性の再就職は厳しい。
企業は、「子どもが熱を出せば会社を早退する」ような女性を採用するよりも、月曜から金曜まで1日8時間、もしくは1日10時間フル稼働できる独身の男性を採用するだろう。

「原則共同親権」の国では、DV等例外ケースもあるが、基本的に離婚後も両方の親に親権があり、例えば、2週間ごとに子どもが父親と母親の家それぞれで生活することも珍しくない。
父親にも母親にも新しいパートナーがいて、パッチワークファミリーを形成する。
素敵なことだと思う。

私は政治に、選択的夫婦別姓と共同親権を求める。
夫婦のあり方に、家族のあり方に、もっと自由を与えるべきだと思うから。