「ほら、みんなやってるでしょ」
「みんなやってるから、やらなきゃ」
普通なら、周りに言われたり周りのやっている様子を見て、やる気に火がついたり、やらなければならない気持ちになったりするのではないだろうか。

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でも、私は違った。周りが頑張っている姿を見ると、どうもやる気が出ない。むしろやる気があっても、周りが頑張りだすとやる気がなくなる傾向にある。
周りがやってるからやる? 周りに言われたからやる? なんで私のやる気を周りに決められなきゃならないの?
これは私のひねくれた考え方なのかもしれない。それでも私は、周りが頑張る姿を見ると、やる気が出なくなってしまう。

私がやる気が出る時は、むしろ周りが頑張っていない時だ。
周りの人たちが遊んでいる時、テレビやYouTubeを見ている時、ゴロゴロとスマホをいじっている時、寝ている時、そんな時、私のやる気スイッチが入る。
うさぎとかめのかめなのかもしれない。
うさぎが怠けている間に抜けるかもしれないという思いがどこかにある。そして自分だけが進んでいることに喜びを感じる。
私は周りに流されることなく、淡々とやることをこなす。やらなければならないこともやりたいことも考えて取り組んで、みんなの止まっているような時間で物事が進んでいる。
今日も私のペースと、心の中で優越感に浸った。

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そんな私はやることが立て込んでいる時に、あえて締め切りが遠いものから手をつける癖がある。明日までにやらなければならないことがあっても、前日の午前中は1週間後の締め切りのものから手をつけることがある。それには3つの理由がある。
1つ目は、明日の締め切りのものが、とにかくやる気になれないからだ。やるべきことを頭の中で考えてはいるものの、やはりやれそうなことから順にこなしてしまう。コン詰めてやらなければならないものはどうしても後回しになってしまう。
2つ目は、追いこまれたほうが短い時間にできるからだ。物理的に考えて、制限時間が短くなったら、その時間内に仕上げなくてはならなくなる。だからあえて自分のできるギリギリを狙って最後に回す。
3つ目は、やりたくない、やる気がないものは最後に回してもいいと考えているからだ。早くからやりたくないものに無理に向き合おうとすると、やらなきゃ、でもやりたくない、どうやって進めていこう、わからない、うまく行く気がしない、時間かかっちゃう、どうしよう、と悩んでばかりでなかなかことが進まない。とても非効率的になってしまう。
そう、だから私はあえて追い込まれた状況を作り出してからやるのだ。そうすることによって、精神的な不安や悩みも短時間集中になる。やるべきこともずるずると伸びることなく、限られた時間の中で解決することになる。

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周りがやっているから、周りが頑張っているからと触発されて頑張れる人は、それはそれで素晴らしいことだと思う。
でも、私はそれが苦手だ。周りが頑張っていると、どうも流されている気がしてやる気が出ない。だから私は周りがあまり頑張っていない時にやる気を発揮する。そして、そのやる気は限られた時間の中でより効果的に発揮されるのだ。

もし、いつもみんな頑張っているのに私は全然頑張れていない、私はなかなか取り掛かりが遅くて頑張れない、と悩んでいる人がいたら、周りと比べる必要なんてないよと言いたい。
人によってやる気の出ること、出ないことはさまざまだ。スイッチの入りどころも違う。それをみんながやっているからと無理にやろうとすることは、精神的に負荷がかかってしまう。
だから、頑張れる時に、やる気が出てきたときに頑張ればいいよと言いたい。