自分の欠点に気付いた段階でトラブルシューティングするのが筋だと心に決めているほど、自分に厳しい私。
今私に足りないのはオキシトシン、そう、幸せホルモンが欠如している。

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先日、ラジオの収録終わりに女子会ランチに参加した。メンバーはプロダクションのマネージャーをしている先輩と、フリーランスのライターをしている先輩。
日頃、都会でオシャレな女子たちとランチする機会がない寂しい田舎暮らしをしているので、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすには打ってつけな女子会だった。
「ほんっと最近あらゆることにイライラしちゃうんですよねー」
そう話す私に、Ms.ポジティブなライターの先輩が間髪入れずにこう言った。
「リサちゃん、オキシトシンが足りないんだよ!!」

オキシトシンとは、心を落ち着かせる効果がある幸せホルモンの一種で、親しい人とのハグなどボディタッチで分泌されるのだそう。
適応障害の治療中、幸せホルモンの一種であるセロトニンを増やすために、なるべく太陽に当たってウォーキングするように主治医から言われて実践したり、それでも補えずにセロトニン系の薬を服用していたこともあった。
しかしオキシトシンは、分泌の仕方がセロトニンとはどうやら異なるようだ。

オキシトシンが足りないからだろうか。
他人の些細な言葉尻や態度が気になった途端、語調を荒げて怒鳴り散らしてしまうくらいにすぐ沸点に達するようになった私。
こんな荒れ方をしたことが生まれてこの方一度もなかったので、自分でも驚いている。

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イライラして人に当たるなんて言語道断。
その原因に、幸せホルモンが足りない自覚はある。
トラブルシューティングの鬼と言っても過言ではない私でも、幸せホルモンであるオキシトシンを増やすために恋愛を1から始めるやる気はいつの間にか枯渇してしまっている。そう、砂漠のようにカラッカラ。

そんな時、家の本棚にあるショッキングピンクの表紙が「私を手に取るのよ!」と言わんばかりにまばゆく感じた。
そのまばゆさに引き寄せられるようにして、林真理子さんの『野心のすすめ』を手に取った。

そこには野心を前輪とし、努力を後輪に例えて「両方のバランスがうまくとれて進んでいるときこそ、健全な野心といえるのだ」と述べられていた。それに付け加えて、「最近の若い作家は努力という後輪がちゃんと回っているにもかかわらず、野心という前輪が回っていない」とも書かれていた。
それは私の恋愛においても言えることだなと、砂漠化した心に、女神からの指摘がポタリと落ちて染み渡った。

甲斐甲斐しく手料理の腕を磨いたり、水回り掃除に便利なアイテムをリサーチして実用化してみたり。
それだけではなく、髪や肌の手入れを怠らず、小綺麗なファッションも心掛けている。
誰でも婚姻届けさえ持ってきてくれれば、いつでも奥さんになれるくらいの努力はしている。
しかし、努力という後輪ばかり回ろうとして、恋愛を1から始めるという野心の前輪がちっとも動いていない。
そんな私の車体を『野心のすすめ』がぐぐぐっと押してくれるきっかけとなった。

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そもそも恋愛を1から始めるという野心が欠けてしまった理由はなんだろう?
振り返ってみると、「善意を搾取されることに慣れてしまっているから」なのではないかとふと思った。
パパ活をしていた頃は愛想よくすればお手当がはずみ、さらに神対応をしてお手当を増やすための努力をしていた。
善意という名の「接客モード」に対する対価があったので、Win-Winな関係だったのだ。
しかし、今はどうか?
好きでもない異性におべんちゃらを言って機嫌を取ったり、気立てよく料理を作ってあげてみたりして、喜んでもらうことに必死。
求められていることをしたところで、対価が発生しないどころか善意を搾取される場面ばかり。
きっとこれが恋愛を1から始めるためのやる気をカラッカラにしてしまった大きな理由だ、間違いない。

理由が分かったのであれば、オキシトシンを手に入れるために一番必要なものは何なのか?
それは、プライスレスな恋愛をすること。
対価のありなしは一旦考えるのをやめよう。
まずは近い将来を見据えて、オキシトシンを手に入れるためにプライスレスな恋愛をしよう。

課題は見えてきた、トラブルシューティングに取り掛かろう。