ぼんやりとニュースを見ていると、政治家や芸能人の汚職事件や賄賂にコネ、個人的なスキャンダル、そんな話題をいつまでも話している光景をよく目にする。国会中継を見ると、誰かが話をしているのに、途中で遮り、別の人が話し出したり、野次を飛ばしたりする姿をよく目にする。学校で人の話は最後まで聞くって習わなかったのかと不快感を抱く。
もっと大事なことなんて山のようにある。富士山よりもエベレストよりも高い山のようにあると思う。
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中でも、私は教育について考えてほしいと思っている。そもそも国会での話を見れば、教育の重要性を感じずにはいられない。
最後まで聞いてから自分の意見を言うようにしましょう。相手の気持ちを考えて発言しましょう。自分の言葉で言いましょう。嘘はつきません。
私が子どもたちに伝えていることを、そのまま国会議員の方々に言いたいくらいだ。
職員会議では誰が何分話すか明確に記載され予定が組まれている。だから話を遮ったり野次を飛ばしたりしていたら時間が守られなくなってしまう。途中で話を遮ったり、ましてや主題から脱線してしまったり飛躍しすぎたりするのは周りにとって迷惑だ。
だから国会や政治には期待していない。人の話もまともに聞けない人たちが、口先だけ国民の言葉に耳を傾けるなんて……と思ってしまう。
私が見ている政治というのが一部だけだからという部分は大いにある。でも、私は皆が知っている教育現場も一部だけだと思う。
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教員になって7年。関わりをもった学校は4校。親族が教員だったこともあり、学校現場の話は自然と耳に入る。
発達障害が増えた。ひとり親が増えた。家庭環境が厳しい子どもが増えた。
その影響は教員に大きな負担を課す。子どもだけでなく、親のサポートも行わなければならなくなった。子どもができないのは先生のせいと言われ、ケンカが起きたら指導が悪いと非難され、以前と比べて教員として働く環境は厳しいものとなっている。
コロナ禍で状況はさらに悪化。コロナ対策による時間外労働は増えた上、まともに授業すらさせてもらえない。
私の担当している音楽の授業では、歌を歌ってはいけません。リコーダーやピアニカも吹いてはいけません。一体どう授業をしたらいいのか。音楽授業の醍醐味が何もできない。
子どもたちも辛い。でも、辛い思いをさせてしまっていると思いながら、必死に案を考え、教材研究をして、何時間もかけて準備をする私もすごく辛い。
つまらないと思わせないように、毎時間音楽クイズを考えたり、紙で100個以上作ったリコーダーやピアニカで練習をさせたり、試行錯誤した。コロナ感染者が減っても歌も楽器も制限が解除されず、この状態の終わりも見えてこない。いつできるようになるかがわからない。成績をつけるのも困難な状態。
それなのに、給料は時給換算数百円状態だ。学校全体にはコロナ対応資金が支給されているが、1人の教員にコロナ対策資金が回ってくるはずもない。理不尽だとさえ思った。
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話も聞けないような人たちが私よりも数倍の給料をもらっている。こんな過酷な労働なのに、残業代もまともにつかない。
一体誰なら変えてくれるのだろう。こんな生活をしているから、夢だった教員から遠ざかろうとしている私。
国会議員一人当たり文書通信交通滞在費で月100万円、年間1200万円もらっていた話を聞いた時、どうしてもっと必死になっている人にお金が回ってこないのかと悲しくなった。
私は現場に立っている以上、責務を果たし、より良い教育環境を作る。辛い、キツい、辞めたいと思うことも多い。でも、周りに求めてばかりでは変わらない。私が変わらなければならない。
そしていつか、もっと働きやすい環境になって、私は教員になってよかったと心から言いたい。それから、自分の担当した子どもたちに、教員ってステキな仕事なんだって伝えたい。政治にその手助けをしてほしい。