私は元々体毛が濃い。剃った次の日には生えてくるのは当たり前。
自分の毛の濃さが気になったのは、中学3年の頃。ある日、同じクラスの子が足の毛を剃ってるという話題で持ちきりだった時。その子には2歳上のお姉ちゃんがいて、そのお姉ちゃんの影響で剃ることにしたと。
そうか、中学3年生になると毛を気にしないといけないんだな、と思ったのを覚えている。
その日から同級生の女の子たちは、どのカミソリを使っているだの、脱毛クリームにしただの、毛の話で持ちきりになった。それは、新しいカミソリや脱毛クリームや脱色クリームが出るたびに続いた。

そしてその中でも同じくらい話題になっていた、女の子なら誰でも一度は聞いたことある「剃れば剃るほど濃くなる問題」が、私にはとても大きな壁だった。
元々体毛の濃い私は、自分の毛の濃さは理解しつつも、「毛は無くしたいけれど、濃くしたくもない」という葛藤があった。
中学生という若い年齢で身体に対する悩みができた瞬間でもあった。

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その悩みは中学時代ずっと付き纏い、高校に入っても拭われることなく、やがてコンプレックスになった。
高校は女子だけのクラスに入学したため、周りは女の子だらけ。美意識が高い子たちが集まっていた。高校に入ってもなるべく剃らず、体毛を濃くしない選択をしていた私。

高校1年の夏、半袖の制服から見えた私の腕には毛が生えていた。その毛を見たクラスの子が「おなす。って毛が濃いよね〜」と何気なく言いながら毛を摘み撫でた。それも1回だけではなく何回も。
その時は笑いながら「そうだよね〜!」と流したけれど、内心はとても傷付いていた。そして「やっぱり濃いんだ、私」と改めて自覚した。
今までは中学生という多感な時期でも、直接ハッキリ言ってくる人はいなかったから、自分だけで気にしていたのが、急に現実を突きつけられたように心に刺さった。

その瞬間から私の体毛の濃さはコンプレックスとして私にまとわりついた。
毎日毛を気にしないと気が済まなくなった。剃っても剃っても次の日には生えてくる自分の身体を何回嫌いになったかわからない。体毛が薄い子を羨んだり、自分の身体が本当に嫌になって泣いた日もあった。
高校の3年間はほとんど体毛だけを気にして過ごしていたと思う。

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そんな時に「体毛 薄くする」と検索し、出会ったのが"脱毛"だった。
当時はニードル脱毛が主流だった。これだ!と思った私はまだ18歳だったため、母親に相談した。
母からの答えはNOだった。悔しくてたまらなかった。なぜこの悩みを理解してくれないのかと、八つ当たりした時もあった。そんなことをしても体毛が薄くならないのは自分が1番よく分かっていた。
結局18歳の私は脱毛をすることができないまま、コンプレックスを抱えて高校を卒業。
専門学校に進学しても脱毛に通うことは出来ずに毛を剃っていた。

どこまで続くんだろう。
このまま脱毛できずにずっと過ごすのだろうか。
いつまでこれをしたらいいのだろう。
いつか脱毛に通える日は来るのかな。
明日も剃らなきゃ。
そんなことを毎日毎日考えていた。

そう悩み尽きて諦めかけた時に、出会いがあった。たまたま見ていた求人冊子にオープニングメンバーを募集している脱毛サロンの求人を見つけた。
これは私のための求人だ……!と思いすぐに応募し、体毛への思いや、同じ悩みを持っている人たちの助けになりたい!と意気込みを伝え、無事に採用された。

誰よりも真剣に研修に挑み、お給料が出ない時間も自主練に充てた。本気で天職に出会えたと思った。
自身がモデルになることも多かったため、体毛は段々薄くなり、処理の時間が減ったこと、自分の身体に自信が持ててきていることを感じた。心の底から自分の身体に感動したのを今でも覚えている。

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その感動した身体は、今では私の大好きな部分となった。
どこを見られても恥ずかしくない、と思える身体を自分で作り上げたこの経験は、私にとってとても大切で、心に残している出来事になっている。

私の場合、同級生に言われた何気ない一言が引き金となってコンプレックスになり、大きな黒い塊が出来上がった。
だけど、そのあとの自分自身への行動で、いくらでも変われるんだ!という事が、これを読んでくれる人に少しでも伝われば良いなと思っている。

体毛に悩みがある人にこれからも寄り添いながら、綺麗にするお手伝いができればと思いながら、私はこの仕事を続けるだろう。