学生生活において、クラス担任だった先生に思い入れがある人もいるだろう。私もその一人だ。
希望進路でクラスが分かれた高校2年生からの2年間、お世話になった担任の先生にはとても感謝している。
その先生と同じくらい、副担任だった先生にも強い思い入れがある。

私が進んだ理系クラスの副担任であるK先生は、化学が専門だった。
高校1年生の時の化学の先生とは授業の相性が悪かったため、化学に苦手意識をもっていた。しかし、K先生の化学の授業は面白くて、分かりやすかった。暗記で覚えていた化学を理屈で学べるようになった。おかげで、少しずつ化学が好きになった。

また、K先生は家族を大切にしている。授業中に奥さんや子どものハッピーエピソードを挟むため、生徒からは良い意味でいじられていた。
その中でも私は特に、奥さんに結婚指輪ではなく、「結婚時計」を贈ったという話が好きだった。きっと、一緒に時を刻んでいきたい、といった意味合いなのだろう。

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良い先生に恵まれた高校時代だったが、苦い思い出もたくさんある。
私は幼い頃から持っていた「いい子でいなければならない」という固定概念にずっと囚われていた。しかし、実際は「いい子の仮面を被ったやさぐれ」だったと思う。
人付き合いが苦手だった私は、当時の親友と大喧嘩し、絶交状態になった。
また、理系クラスではあったが、私は将来を考えた上で進路を文系に変更した。そのため、苦手な文系科目や習っていない科目をカバーする必要があり、成績が伸び悩んでいた。
そんな不安定な状態だった私を心配そうに見つめていたK先生の顔を、今でも覚えている。

センター試験では4科目ある理科のうち、文系は1科目選ばなければならない。私は迷わず化学を選んだ。
しかし、初めてのセンター模試の成績が40点台だったことは衝撃だった。それでも、K先生のおかげで化学を好きになった私は諦めなかった。分からない問題は積極的にK先生に質問し、勉強方法も成績が上がるよう工夫した。最終的に、本番では90点台をとることができた。

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二次試験。最終的に決めた志望校の受験科目は、必須である数学と英語、そして理科か社会の選択。
文系選択だった私はセンター試験と同じ、社会科目の地理を選ぼうとした。しかし、地理の二次試験対策に強い先生が当時いなかった。

センター試験で成長した成績を残した私は、少し自信を持った。当時の化学はIとIIがあり、センター試験は化学Iのみが受験範囲だったが、二次試験には化学IIも含まれる。理系クラスだったため化学IIを一通り学んだものの、センター試験に専念していたため、ほとんど知識が抜けていた。
それでも、K先生のおかげで頑張れた化学の方が可能性は高いと判断した私は、理科を選択した。二次試験までの約1ヶ月間、他の科目と並行して化学IIを復習し、頭に詰め込んだ。

結果、私は志望校に合格した。
K先生に合格を報告すると、「よかったなあ」と息を漏らしながら祝ってくれて、嬉しかった。

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合格発表の前に行われた卒業式の時に、卒業アルバムに書いてもらったクラスメイトからの寄せ書きたちを振り返る。その中に含まれていたK先生のことばにハッとさせられた。
「時には無責任にパーっとやってみよう」
K先生は、私が自分の殻に閉じこもっていたことに気付いていた。そのことばで、私もやっと気が付いた。

K先生に伝えたい。

K先生!大学生活、パーーーっと過ごしました!!
勉強だけでなく、しっかり遊んだし、心を許せる友人もできました。
弾丸で海外旅行に行ったり、2回も留学しちゃったり。
成績に敏感だった私が、必須科目の単位を落としました!でも、ちゃんと単位を回収しました!
せっかく貰った内定を蹴って、大学院に進学しちゃいました!
社会人になった今、新しい悩みを抱えながらも、パーっとやってますよ!

ついでに、もし結婚するなら、結婚時計を一緒に身につけてくれる相手がいいな、と思います。