閉経を迎える年齢は平均で50歳らしい。
私は、あと数十年の間に何枚のナプキンを消費するのだろう。
生理痛に苦しみながらベッドの上で一人、そう思う。

生理の重さというのは個人差が大きいものだ。
同じ女性であっても他人の辛さの全てに共感が出来るものでもない為、自分の基準で生理を考えるのはとても危険な行為だと感じる。
人によっては動く事が出来ず会社に行けない人、気を失ってしまう人、嘔吐する人、薬が手放せず出費が嵩む人、合う薬も見つからず苦しんでいる人、等がおり、このような人を含む多くの女性が毎月生理を乗り越えて生活しているのだ。

だからこそ、想像しづらいであろう男性陣には声を大にして言いたい。
くれぐれも、元カノと今カノの生理を同じだと思わないで下さい、と。

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私の場合はPMS(月経前症候群)に含まれるPMDD(月経前不快気分障害)が強く現れるタイプで、精神的なダメージが多く出てしまう。生理が始まる3日から10日前後にこれらの症状が起き、生理中にも辛さが続く事を考えると、1年の中で心が安定している期間がいかに限られたものなのだろうか、と悲しくなる。

しかし、時代は令和である。
ネットに飛び込めば、YouTubeやブログで私と同じような悩みを抱えた世界中の女性たちの存在を山ほど知る事ができ、婦人科や精神科や心療内科の専門医による貴重な話を無料で聞く事も出来る。それらは私の心をとても軽くしてくれた。
PMSという言葉すら一般的ではなかった時代にPMSに苦しんだ多くの女性たちを想像すると、本当に自分は恵まれた時代に生きているのだ、と感謝の念しかない。

実際に暗い事件も多く起きている事から、ネットの世界というと危険なモノとしてネガティブな面がクローズアップされがちだが、誰にも相談できず、足を踏み出すにはハードルの高さを感じてしまうようなマイノリティな悩みに関しては、ネットほど心強い存在はないだろうと感じる。
そして、私は生理についての情報を調べる中で「月経カップ」という存在を知る事になった。

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月経カップとは、1930年頃にアメリカで生まれた生理用品で、現在では世界中で多くの女性が使用をしている。
調べている内に、月経カップが私のPMDDを直接的に解決してくれる事はないかもしれないが、生理期間の憂鬱を少しだけでも消し去ってくれるかもしれない、と思えた。

しかし、中学生時代にタンポンを試み、挿入で涙、取出し時に不快感を感じてしまった私は完全ナプキン派であり、タンポンですら挫折している経験から月経カップに難易度の高さを感じていた。
だが、月経カップの魅力的なメリットを思うとそんな恐怖感に怯えている暇はない、と思えた。

私が月経カップに惹かれた1番のポイントは、臭いが気にならない、という点だった。
生理の臭いが周囲にバレていないだろうか……というストレスは、思春期から大人になるまで消える事のない悩みだった。だが、経血が空気中に触れる事のない月経カップの仕組みは、その不安も解決してくれる。
また、種類によっては12時間の連続使用も可能であるため、ナプキンを取り替えるようなストレスもなく、蒸れやかぶれの悩みも消えた。更に、繰り返し使用できる事からエコにも繋がり、災害時にも安心できるという点も魅力的だ。

そして私は、月経カップの使用を通して、SDGsなどにも興味を持つようになり、物を購入する際にはサステナブル商品を意識するようにもなった。
環境に対して少し真剣に考えて生活してみよう、という視点を持つキッカケもくれた月経カップ。私に気付きを与えてくれたここまでの過程にも感謝の気持ちが湧いた。

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インターネットってありがたい。月経カップってありがたい。
そこにどれだけの人が関わっているのだろうと思うと、自分も一生懸命生きよう、と思える。
そして何より、人の意見が聞けるだけの心に余裕のある生活環境で暮らせている事がとてもありがたい、とも思う。

心に余裕や元気がなくなると、他人に感謝を感じられる思考のパワーは弱くなるものだと感じる。他人にいつでも素直な気持ちが伝えられる可愛い人間でいられるように、ありがとうがいつでも口からスムーズに出て来られるように、自分の心の環境を整えて、地球環境にも配慮が持てる自分を保ちたい。