総理大臣になりそうな人ランキング1位、お金持ちになりそうな人ランキング3位、成績表はいつもほとんどが◎だった小学生時代。自分のことを周りも認める、できる人だと密かに思っていた。だから自分に少し自信を持っていた。

しかし中学受験をし、いかに自分の見てきた世界が狭かったかを痛感した。
テストの多くが平均点以下。テストの結果で分けられたクラスで感じる劣等感。真面目にしていれば優等生と半分バカにされ、正義感を持って行動すると、いい子ぶってと陰口を叩かれた。
いい子にしていればもらえた◎は、もうつかない。点数で割り振られる成績では、良くて学年で真ん中程度の順位。成績もただの凡人レベル。周りはお金持ちばかりでブランド物の話ばかり。私はそのブランドのロゴを見ても読むことさえできなかった。
総理大臣になりそうな人?お金持ちになりそうな人?そんなこと言ったら笑い者にされること間違いない。

自分に自信がなくなった。
たった数年で、自分の価値が下がった気がした。
できの悪い人間だったんだと気づいた時、周りから孤立していると気づいた時、私は自信を失い、私自身を見失った。

◎          ◎

その後はなんとか平均的な水準でやっていこうと思い、勉強し、教育学部のある大学に進学。教員になった。
でも、あまりうまくいかなかった。このままやっていってもずるずるとうまくいかないことが続くだけだ。
そう思った時、私は変わろうと決意した。そして今の状況から脱却すべく、1つのたくらみを持った。
教員を続けていく感じをかもしながら、教員を辞めて自由な生活を送ることだ。

夢だった教員を辞め、自分で自分の家を建てて、そこで仕事もやっていく。

本当は夢だった教員になれたらそれで良いと思っていた。でもそれは10年前の話。実際教育現場に立つと、年々教員を続けていく気力が失われていく。
過酷な労働は多く、持ち帰りの仕事はほぼ毎日、サービス残業は当たり前。子どもや先生から受けるダメージも多かった。それに加えて自分の不甲斐なさ。
身体はボロボロになり、月にかかるお金で医療費が一番高くなってしまうこともあった。
教員として働いているものの、非正規雇用だと給料は高くない。塾の講師も掛け持ちし、なんとか月収20万いくかいかないか。そんな私は家を建てるためにコツコツお金を貯め続けた。
自分で家を建てて、好きなことしてやるんだ。自分の身体を傷つけないために、周りとの関係に左右されないように。
自分の家を建てたら、自分の家で働こう。喫茶店もいいな。創作活動が好きだから、喫茶店が休みの日は折り紙教室をしようかな。家建てるなら、作品を飾れるスペースがあったらいいな。材料を置くための収納スペースもいるな。執筆活動がしやすい書斎も素敵だな。
私の中で夢が広がる。

◎          ◎

正直、今はかなり辛い。
仕事で上司から散々嫌味を言われ、勝手に予定を変えられ、振り回される。学校では荒れたクラスに配属され、私物にペンで落書きされたり、叩かれたりは日常茶飯事。毎日心が折れそうになりながら出勤している。
でも、私にはたくらみがある。家を建てて自由になる!これだけ頑張って耐えた分、絶対幸せになってやる。
「教員採用試験は受けないんですか?」とよく聞かれるが、私はもう教員から離れるつもりなのだ。みんなは気付いてないだろうけど。

自分の家を建てて、自分のやりたいことができるようになって、幸せに過ごせるようになったら、私は幸せを提供できる人になりたい。自分が苦しかった分、苦しい人の気持ちに寄り添って、幸せをたくさんの人に届けたい。
私のたくらみはいつの間にか目標となり、せっせと貯めたお金は880万を越えた。
みんなが幸せになれる場所を作って、幸せを届けられるよう、もう少し踏ん張っていくんだ。
私と共にみんなが幸せになれるところを作るんだ。