私の邪魔されたくない時間は、瞑想の時間である。

瞑想は5年前から始めた。一時期、有名企業で瞑想が採用されていると報道されて流行っていたので、その影響もあるかもしれない。最初は、宗教っぽくて抵抗感があったけれど、タダだし、効果がなければいつでも辞められると思ってやってみることにした。

私の場合、瞑想を誰かに習ったわけでもなく、決まりも特にない。完全にフリースタイルで我流である。やり方や回数、時間もそのときの気分で変わるし、忙しい時期はやらない日もある。これくらい緩い方が続けやすい。

座を組んでの瞑想が一般的だが、私のスタイルは色々で、横になりながら、ストレッチしながら、ちょっとした隙間の時間に立ったまま、場所や状況を選ばずに瞑想する。瞑想のプロがいるなら怒られてしまうかもしれないけれど、心地よいことが1番だと思っている。
私が気をつけているポイントは2つだけ。深い呼吸を心がけること、リラックスできる状態・環境ですること。それだけである。

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私は人よりも疲れやすい。人混みが大の苦手で、他人の感情に敏感で、環境の変化に耐えきれない。
何も「得ない」時間は無いに等しい。
朝起きて目を開けた瞬間から、大量の情報が私の中に入ってくる。SNSから流れてくるものだけが情報ではなくて、電車の中にいる人の服装、話している内容、新しくできたお店、お昼に食べたサンドイッチの味、友人達との会話、外から聞こえる猫の鳴き声、暑さで流れる汗の感覚まで、ありとあらゆるもの全てが情報となる。

いつでも私は、意識は外側に向いている。
失敗しないように、間違えないように、無意識のうちに気が張っている。
競争社会で、日々起こる様々なことに振り回されて、その度に身体と心が疲れていく。そうしているうちに、いつの間にか「わたし」が埋もれていく。
世間や常識、他人の意見ではなく、私が何を感じて、何を思い、何をしていきたいのか、どんどん分からなくなる。

私にとって瞑想の時間は癒しなのだ。私がわたしに戻るための時間が瞑想なのである。邪魔されたくはない。

大きく息を吐いて、深呼吸を始める。その揺らぎに合わせて、緊張した身体を少しずつ解放していく。
最初は色んな考え事や感情があふれ出して落ち着かない。どうしても集中できずに辞めたくなるときもあるけれど、そこをグッと堪えて呼吸に集中する。そのうちに内側にだけ意識が向けられはじめて、ただそこに「在る」だけになる。

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インプット、アウトプットという言葉がよく使われる。瞑想はインプットとアウトプットの「間」の時間、つまり、空白の時間だと思う。

今の時代は目に触れる情報量が多く、誰もが生き急いでいる気がする。
今、必要なのは、受信することでもなく発信することでもなく、ただ内観する空白の時間なのではないかと思う。瞑想だけが空白の時間を作れるというわけではないと思うけど、立ち止まる癖をつけるには良いツールだと思う。思考を明瞭にさせ、心を落ち着けることもできる。重要なのは、自分の飾らない本音をちゃんと聞く時間を持つこと。静止する時間を持つこと。

あらゆることを問題にして闘い合う前に、言葉を発する前に、行動する前に一度立ち止まる癖ができるようになれば、この世の中の争いの半分くらいは無くなるのではないかと思ったりする。