忘れられない街。
つまり思い出の街。
ありきたりだけど、京都が好きだ。
「そうだ 京都、行こう」。そんなテレビコマーシャルもあったような。
誰が聞いても、いいなあとほこほこできる。京都ってそんな単語なんじゃないか。
わたしが京都を訪れたのは過去2回。
そして3回目を計画していて、もうじき実行!の時、そう、コロナ騒動が始まった。
わたしの中で京都とコロナは密接であり、だからコロナが終わったらわたしはきっと京都へ行く。行ってやるんだ。
◎ ◎
1度目は修学旅行のこと。
わたしはわいわいがやがやを楽しめるタイプではなくて、もちろんその修学旅行は楽しかったのだけれど実はあまり、印象に残っていない。
金箔入りのお抹茶をお土産に買ってほくほくしたこと以外。
そんなわけで2度目の京都を求めた。
今度は一人旅。
わたしはふらっと1人で県内やお隣の県へ旅行するのが趣味であった。
なんだか気分がよかったのか、もう少し遠くへ行ってみたくなったのだろう。
思いつく旅先、京都一択。
高校時代だったと思う。安ーいお宿を必死に探して、夜行バスをとった。
旅行が趣味。そんな生活から遠ざかって久しいので、今も好きだか正直自信はない。当時はとても楽しんで出掛けていた。
小さいながらもとても素敵なドミトリータイプのお宿。
道路と竹で仕切られていた記憶がある。
スタッフの人もとても親切だった。
お風呂がとんでもなく大きくて綺麗で、自分のうちよりリラックスできた。
ラウンジは24時間明かりがついていて、興奮冷めず寝付けないわたしは本を読んでいた記憶がある。
また来よう、ここに泊まろうと必死に記憶に焼き付けたのに、どうもコロナ禍1年目の頃、そこは潰れてしまったようだった。
◎ ◎
真夏の京都は閑散期らしい。
真夏の京都はとにかく暑い、らしい。
きっと地形や何かで、昔の社会の授業で習っているはずの事実だけれど、わたしの頭からはすっ飛んでいた。確かに並みに汗はかいたけれど、旅先での高揚と合わさると気温はよくわからなかった。
わたしがとにかく気に入ってしまったのは慈照寺銀閣。
3日くらい連続して通った。
そのうち、とてもよく晴れている日もあったし、雨が降って足元が覚束ない日もあったと記憶する。
お宿からバスに乗って学問の道あたりで下車。そこから歩く。
途中素敵なお店がたくさんあり、カフェにお食事処、いろいろ巡った。
とても楽しかった。
銀閣の美味しいお水、という言葉を浴びるほど聞いた。
飲み水もお食事に使うお水も美味しいのだそうだ。確かにそんな気がした。
◎ ◎
電車も印象的だったように思う。
京都駅に着いて、お宿の辺りへ向かう時、電車のなんてかわいいこと。
このあたりの人は通学や通勤に毎日こんなにおしゃれな電車に乗るのか。あれはなんという線だったろう。
大きな駅には、甘味屋さんが必ずと言っていいほど入っていた。
お抹茶スイーツやあんみつがいただけるような。
わたしの地元ではそういった甘味屋さんはとてもとても珍しい。和食系のレストランにちょこっと甘味メニューのある程度。
スターバックスの方がよほど見る。
いま思うと、茶室や茶道体験に行ってみればよかったなあとか、着物を着て歩いてみればよかったなあとか、いろいろ思うことはある。
いまは私も少しばかり大人になっているし、お金ももう少しかけられるのだろう。
部屋食の出るお宿なんかいいかもしれない。
そして、そんな素敵な旅行を大切な人としたいと思うようになった。
コロナなんて言葉を聞かなくなる未来があるとすれば、私は今よりさらにまた少し、大人になっているはずだ。