大学時代2年間だけ住んでいた街。
久しぶりにそこへ行ったら、たくさんの想い出が蘇ってきた。

往復の時間を、私はその街に託した

2年間は私にとって濃密な時間だった。
大学2年生の春。その街まで通っていた。
授業のレポートや実験に追われ、毎日大学の図書館で遅くまで居残り、朝は早く行くハードなスケジュール。
往復2時間の通学時間。疲れや睡眠不足でめまいを起こし、その街へ住む事に決めた。

住み始めると当時付き合ってた彼氏とほぼ同棲生活に。家を行き来し、一緒にご飯を食べて、一緒に学校へ行き、一緒に眠りに落ちる生活。
大学には近くなったものの、やっぱり寝坊する日もあった。1限に間に合わせるために一緒に走ったり、でもお腹が空いたからジュースで間に合わせたり……。
自販機でジュースを買った瞬間もなぜか覚えている。青春の1枚のように。

授業があるときはほとんど図書館へ居座っていた。
毎週提出するレポート。図書館にいるメンバーはいつも一緒だった。出会い、仲良くなった人たちもたくさんいる。
みんなで力を合わせて、文献を探した。レポートの進捗状況とか、疑問点をディスカッションする事で答えが導かれた。
協力する事でどんどん絆が結ばれていった。

みんながいたから、やり遂げられた

図書館が閉館する時間には蛍の光が流れた。これ以上居れない時は誰かの家でレポートをした日もあった。私の家に集まった冬。祖父からもらった野菜が大量にあった日。
レポートが終わった人から順にキムチ鍋の仕込みを始めた。

23時過ぎに食べたキムチ鍋。女子4人ではふはふしながら「あとちょっとだね」「キムチ鍋のしめはチーズとご飯にしよう」などなど。
他愛もない会話をした。食べ終わってみんなお腹いっぱい。幸せな気持ちになった。
そこからレポートのラストスパートをかける子。寝ちゃった子。
こたつで4人は雑魚寝。そんな些細な事が未だに忘れられない。

24時間のファミレスでドリンクバーを頼み、朝まで勉強した日もあった。ここにいれば、誰かがいる。教える事で知識が身につくから、教えたり、教えてもらったりした。
泣きながらくる子、切羽詰まっている子もいた。

私もテストを受けるまでは不安でどうしようもない気持ちになった。
でも、みんながいて慰めあって乗り越えられた。大変で大変でどうしようもなかったし、みんな目の下にクマが出来た。

テストもレポートも提出するまで、結果が出るまでは分からない世界。どのくらい一生懸命やってもダメな時はダメ。その莫大な知識をどこまで身に付ければいいのか、どこまで突き詰めればよいのか、しんどくなった事は何度もあった。
でも、自分が学びたかった事を学べる幸せを私は知っていたし、一緒に頑張ってくれる仲間がいたから、テストもレポートもクリアできた。

朝にレポートを提出すると朝ラーメンを食べに行った。締め切りは8時半。みんなギリギリまでやっているので、そこで出会った人とそのままラーメンを食べに行く。
疲労した体にラーメンがしみこみ、頑張ってよかったぁと思えた。
長期休みは街の散策や古着屋さん、新しくできたお店へ彼氏や友達と行った。
みんなで海へ行ったこともある。青春を感じた。

想い出がたくさん詰まった2年間だった

その街での2年間を終え、実家から違うキャンパスへ通うようになった。それから彼氏とはお別れし、新しい生活が始まった。
これは5年前の話。私の大切な2年間。今でも親友とは繋がっている。大人になった私たちは話す内容や会う回数が変化した。それと共に街も変化していた。

私の大切な2年間には戻れないけど、その街へ行くと青春を思い出し、幸せでちょっと切なくなる。この街で暮らした私の2年間は永遠に忘れられないだろう。