わたしの小さなたくらみは「ちょっとえっちで美人な図書館司書」になることだ。
本が好きで、図書館という空間が好きなわたしは1年程前、図書館司書の資格を取るため通信大学に入学した。
当時のわたしは仕事が辛く、休みの日にもモヤモヤと仕事のことで頭を悩ませていた。夢中になれて、頭の中から仕事を取っ払うことができることはないかと考え、資格を取ることにした。読書だけは大人になった今でも唯一続けられていることだった。

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仕事をしながら勉強をすることは、自分が考えていたよりずっと過酷で体力が削られた。
ただ、一方で勉強をしている間は仕事や日々の悩みを考える暇がなく、せわしなく目と手を動かしていれば時間は過ぎていった。
あまり気乗りしないオンライン飲み会を断る理由としても、全くの嘘ではない「資格勉強」という理由は気持ちを楽にさせたし、コロナによって直接友人と顔を合わせることも少なくなった今、SNSで見る様々な輝かしい人生報告の数々に少々疲れてしまっていたわたしには、「資格勉強」は丁度良い活動だった。

図書館と家を往復し、参考文献を抱え、教科書に付箋や赤ペンを入れながら内容を理解して、何年か振りにレポートを作成する。何度も再提出の文字を見た。教授は丁寧にフィードバックを送ってくれた。
期末テストでは山を張り、徹夜し、眠い目をこすって仕事が休みの日に受験した。自分があまりにサボりがちな大学生に見えてきてしまって笑った。
若返った気になったわたしは、図書館で働く綺麗なお姉さんになりたい、近所の学生や住民からちょっと噂されちゃうような美人でえっちな図書館司書さんになりたい等という妄想に近い、小さなたくらみを始めた。

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最短半年で取得できるものを1年弱かけてようやく取得し、わたしは図書館司書資格を取得することができた。
たのしかった。現職に活きる訳でもなく、転職をすぐにしようと決断ができたわけでもなかったが、たのしかった。
期末テストで1度だけ「秀」の評価をもらえた。頑張っても報われないことの多い社会で、頑張った成果が目に見えて反映されることは気持ちがよかったし、嬉しかった。資格証が届いた時には一人でニヤニヤとしてしまった。

社会人をしながら資格を取ることは確かに大変だけど、今回初めて知ったことがたくさんある。
わたしが通っていた通信大学では、授業は全てオンライン上で行うことができ、期末試験も会場受験とWEB受験を選べること。学校によってはキャンペーンなどで入学祝い金をもらえること(わたしは5000円分のアマゾンギフト券をもらった)。教育訓練給付制度という制度があり、学費の何割かが返ってくるということ(これにはかなり救われた)。
仕事をしながら何か新しいことに挑戦することは、ずっとハードルの高いことだと思っていたけど、意外とサポートが多くて嬉しかった。仕事が嫌になっている人、新しいことに踏み出してみたい人に是非おすすめしたい。

資格取得を成し遂げた今、あとはえっちで美人になるだけ!
日焼け止めをばっちり塗って、キラキラのアイシャドウも塗って、好きなお洋服を着て、鞄には小説を忍ばせて、小さなたくらみは今日もわたしを明るく笑顔にさせてくれる。