「生理用品を買うお金がないんです」
テレビのニュースでの、ある女子大生の発言。
コロナ禍で今までしていたバイトができなくなり、経済的に厳しくなった結果だった。
「コロナの影響がここまできているんだ」と、私はショックを隠しきれなかった。

女性が避けて通れない、毎月の生理。
周期の把握、鎮痛剤の服用、PMSとの闘い。
これだけでも、かなりのストレス。
そして、何より生理用品、いわゆるナプキンは、生理の期間を乗り切るための必需品。
手持ちのナプキンが多いに越したことはないが、逆に足りないとなると大変。
周期がずれて急に生理がきて、焦った経験がある人もいるのではないだろうか。
「女の子のやつ、きちゃった。誰か"アレ"持ってる?」
「私、ちょうど今なってるからあるよ」
学生時代に、こんなやり取りをよく聞いたことがある。
私も、実際に数日ほど生理が早まり、友だちからナプキンをもらったことがあった。
友だちに感謝したと同時に、手元にナプキンがあるだけで、「これでもう大丈夫」と安心感を覚えた。

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生理用品は、軽減税率の対象ではない。
女性にとっては生活必需品でも、男性にとっては違う。
「だから仕方ない」と終わらせてしまった日本の現状に、私は絶望している。
スコットランドでの生理用品の無償化。
先月、これが義務づけられたことを知った。
日本では、まだここまでは実現できていない。
あるショッピングモールのトイレに、ナプキンを無料で使用できるサービスが導入されていて、私は感動した。
でも、これはほんの一部の場所だけ。
スコットランドのように、必要としている人たち全員への提供とはいかない。
"生理"も"ナプキン"も、「分からないように、別の言葉に言い換える」という、暗黙のルール。
私たちはまだ、「生理は恥ずかしい」という概念から抜け出せていない。
「生理は病気じゃないんだから」
「PMSなんて、女がヒスっててヤバイだけ」
そんな心ない言葉を発する人がいることも、とても残念に思う。
理解のない男性に対して、「生理になって同じ思いをしてみろ」と、怒りすら覚える。

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でも、社会人になってから、あることに気づいた。
男性だけでなく、女性同士でも、生理について完全には理解し合えていない。
きっかけは、街中である女性たちに遭遇したこと。
生理について話しているのが聞こえたので、私は何となく気になって耳を澄ましていた。
「同じ部署の子が毎月、生理で休んでてさー。起き上がれないとかあり得ないよね?」
「それ、絶対仮病じゃん!」
その2人の女性たちは笑って話していたが、私は悲しい気持ちになった。
まったく生理痛を感じない人。
起き上がれないくらい症状が重い人。
生理の症状には、個人差がある。
それでも、生理がくるもの同士、みんなで助け合うものだと私は考えていた。
でも、自分には生理休暇を取るほど重い症状がないからと、理解しようとしない女性もいるのだと知った。
悪口を言われている側の女性のことを考えると、私までつらい気持ちになる。

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生理ではないが、私の持病は周りから理解されづらい。
規則正しい生活を送っていても、急に体調を崩すことがよくある。
症状は見ただけでは分からないし、正直、仮病だと思われそうな内容。
それで嫌な思いをすることが、時々ある。
「私はこんなにつらいのに」と、理解されないことが悲しくて悔しくて、泣いてしまう。
だから、私には痛いほど彼女の気持ちが分かる。
性別関係なく、生理についての知識が足りない人に、正しい情報を伝えて理解してもらう。
近くにナプキンがなくて困っている人がいたら、自分が持っているのを分けてあげる。
生理でつらそうにしている人がいたら、できる限りのことをしてその人に寄り添う。
私にできるのは、これくらい。
小さなことの積み重ねにはなるけれど、現状を変えることに少しでも貢献できたらいいなと思う。