私にはセフレがいる。
正確に言うと、私には別れを切り出したいセフレがいる。
「セフレに別れ話なんて必要ないよ」と言われるかもしれないが、彼女になってとは言わないから渾身の別れ話ぐらいは聞いてほしい。

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彼と知り合ったのは3ヶ月前。
クラブでのナンパだった。
私はクラブに行くのは久々だったので、朝まで楽しむつもりだった。
ふと声をかけてきた私のタイプとは真逆の男。
顔も発する言葉も全く好みではない。
一緒にいた友達も「ほんとに?」という顔で見てくる。
「お酒を奢ってもらえるし、もっと酔いたいだけ」と友達に言って一緒に飲み始めた。

でもきっと友達を説得しようとしたそのときから、私は彼に恋をしていたのだろう。
その後も彼とずっと一緒にいて、好みと真逆なのに不思議と嫌な感じがしない、それどころか落ち着きすら感じていた。
2時間ぐらい一緒にいたところで、彼がキスをしてきた。
それを皮切りに、お互いの高まりを感じ、彼と一緒にクラブを出た。

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それから3ヶ月。
ここまで継続的な関係になると思っていなかった。
ワンナイトはあってもセフレにはなったことがない。
1回した人に魅力を感じない。
私は男性的な考え方で、割り切れるタイプなのだと思っていた。
それがどうだろうか。
彼からの連絡を心待ちにし、だから次会った時には彼に。こう言おう。

「こんな継続的な関係になると思っていなかった。セフレができたのは初めてだし、私はあなたと関係を持った日からあなた以外しかいない。
それはわざわざそうしていたわけではなくて、彼氏でもセフレでも、私は誰かと同時並行する器用さも持ち合わせていないし、そこまで男に時間を使おうとも思っていないから。
あなたには他の女の子もいるだろうし、もしかしたらいないと言っていた彼女もいるかもしれない。そんなの理解していたし、私は割り切れていると思っていた、だからかな。
情が入ってはいけないと思うほどに、情が入ってしまったの。
だから、今日で会うのを最後にしようと思う。だから、さっきのが最後のセックス。
この3ヶ月楽しかったよ、ありがとう」

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1K一人暮らしの7畳の居室。
ベッドに寝転がり、天井を見ながら1人で別れ話を練習する。
どう見てもくどいと思うセリフの数々。
それでも、できるだけかっこよく言えるように。
なのになぜだろう。
たかが練習なのに、鼻の奥がツーンとして、涙が頬を伝う。
練習で泣いてしまうほどに、私は彼のことを好きになってしまったの?

これはこれは恋ではなく執着だと自分に言い聞かせてきた。
それなのに涙が出るほどに、彼のことを想う自分に、別れを考えながら気づく。
きっと彼は私のこんな気持ちを知らないし、分かりたくもない。
それでも別れを経験したい、自然消滅を望まない私は、わがままなのだろうか。

きっと私が彼に別れ話をかっこよくできる日はまだ来ないのだろう。