憧れの人が好きな人になった。小学生の頃からクラブ活動で同じスポーツをしていた人。

小学生、中学生の時は別の学校だったので話したことはほとんどなかった。高校生になって同じ高校、同じ部活になり、男女一緒に練習する部活だったので、同じ高校名を背負って戦う仲間としてとても信頼していたし、仲のいい友人だった。

その人はかっこよくて学校の中でも人気だったし、歴代の彼女も可愛い人ばかりだったので、わたしには釣り合わない人と思っていた。部活の中でもいつも選抜に選ばれるくらい強い人で、同じ年であっても、尊敬する人だった。小学生の頃から強かったから、一緒に練習できるのが嬉しかった。

わたしなんかを? 好きだった?

お互い大学生になって地元を離れて生活していたが、地元に帰るタイミングで2人で会うことになった。友人を介して彼から連絡がきたのだ。地元の回転寿司で会った。高校生の頃にもよく行っていたところ。久しぶりに会った彼は相変わらずかっこよくて考えが大人だった。わたしは見た目も中身も、何も変わっていないのに。それでも久しぶりの再会に話は弾み、いろんな話をした。
高校の頃の話を振り返っていて、あの頃実はわたしのことを好きだったと唐突に言われた。理解するまで時間がかかって、反応するまで時間があったと思う。
わたしなんかを? 好きだった?

部活で合宿練習の時、厳しい練習内容のメニューを途中で抜けず、最後までやり通したわたしのことをみていて好きになってくれたのだという。みんな同じメニューをやっていたのに、わたしのことをみてくれていたのが嬉しかったし、それで好きになってくれていたことも、すごくすごく嬉しかった。
好きと言われて彼の存在がわたしの中で憧れから、少し近づいた。それでもわたしにとっては雲の上の人で、対等とは思えないけど。

その人にだけは自分から告白出来なかった

この時からたまにご飯したり、地元に帰るタイミングを合わせたり、定期的に会う仲になった。住んでいるところは飛行機か新幹線で行くくらい遠かったけれど、わたしが彼の近くで用事がある度に会っていた。彼のために行ったことも数回はあった。彼氏と彼女ではないので、片想いの遠距離恋愛。

いつかの帰りに彼がわたしのことを特別な人と言ってくれた。わたしももう好きだった。それでも付き合いたいなんてこと言えなかった。今の関係でいい、今のまま会えるならいい、そう思っていた。
本当は付き合ってもっと仲良くなりたかった。でも自信がない。振られて気まずくなるのも嫌だったし、勇気がなかった。
わたしはその人にだけは自分から告白出来なかった。特別な人、そういう表現で自分と彼の関係性は他と違うんだと思えるのが幸せだった。

彼はわたしのことを好きでいてくれたのだろうか

定期的に会う関係が一年ほど続いた頃に、バイト先に気になる人ができた。初めてその人と2人でご飯に行った時、すぐ好きになってしまった。
好きになったのはその場の勢いだったと思う。ご飯を食べて、2人ともまだ話したくて、カラオケ店に行った。歌わずに2人でずっと話していて、付き合おうと言われた。
彼のことを考えた。迷った。けれどわたしは勢いのまま、バイト先の人と付き合うことを選んだ。遠くにいる、憧れの人より、近くにいる好きと言ってくれる人を選んだ。そのバイト先の人と3年たった今も付き合っているので、勢いでも良かったかなって思う自分もいる。

でもあの時、一度考えさせて言ったら、やっぱりわたしには好きな人がいるからと言ったらどうだったんだろう。バイト先の人の告白を断っても、彼と付き合える未来があったわけではないと思っているが、少し期待していた自分もいる。
わたしはそのカラオケ店での告白で、バイト先の彼を選んだ。特別な存在の彼からは告白されたわけではないけれど、もう会わないという選択をした。告白の後、彼氏ができた、と言ったらおめでとうと言ってくれた。もう会えないとは言わなかったけれど、その先彼とご飯に行くことも、会うこともなくなった。

彼はわたしのことを好きでいてくれたのだろうか。ハッキリしない終わり方になってしまったし、彼にとっては突然彼氏ができたとわたしが言ったし、わたしはひどい人だと思う。こうして文章にしてみることで、自分の想いを吐き出すのが精一杯。どうすることも出来ない、一つの思い出。
でも楽しかったのも事実。いいところだけ切り取ってわたしの思い出の一つとしてこれからも胸にしまっていこうと思う。
自分よがりでごめんね。本当にたくさんの幸せありがとうね。