今年、というより、もはや毎年掲げている目標が一つある。
世の中の多くの女性が同じ目標を持っていると思う。
「痩せる」だ。

はじめてそれを意識し出したのは中学生の頃。
小学生まではガリガリのヒョロヒョロだった私だが、中学3年間本気でバレーボールに打ち込んだ結果、私の太ももは丸太のように太くなってしまった。
そこからは痩せたり太ったりを繰り返し、この目標を掲げなかった年はないと言っていい。
これまでの私のダイエットは非常に過激で、総摂取カロリーを極端に減らし、その上で一日何キロもランニングするというものだった。
バレー部時代に培った忍耐力のおかげか、目標達成に至るまでその取り組みを継続することに苦はあれど、挫折することはなかった。
しかし、一度目標を更新してしまえば一気にタガが外れ、そうなった私を止めることはもはや誰にもできない。
ふと気がつくと、鏡の前にはダイエット開始前の私、というわけだ。

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そんな過激派のダイエットを繰り返してきた私だったが、20代後半になり、身体的にそのやり方が通用しなくなってきたことを感じ始めていた。
そして仕事をしながら=ストレスを感じながら、そんな過酷環境において食事のセーブもできていない状況で、さらに上乗せするようにダイエットをできる日と言われれば否。
それだけの気力も徐々に失われてきていた。
かくして、身体的にも精神的にもこれまでのやり方が通じないことを悟った私は、にっちもさっちもいかなくなったのだった。

「睡蓮ちゃんは少し猫背だから、姿勢の矯正とかしてみたら?」
仕事の休憩時間、同性の先輩方との話題は大概が恋愛か美容の話。
その日も、美容の話をしていたところで、最近のダイエットの愚痴を漏らしていた。
そんな時、元々美女揃いの先輩の中でも一際美人の先輩が、先ほどの言葉を投げかけた。
「姿勢の矯正ですか?それってダイエットになるんですか?」
「姿勢良くするだけで代謝上がるし、筋肉使うからそれだけでカロリー消費するよ」
そう言ってお薦めしてくれたのがピラティスだった。

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ピラティスのことは、K-POPアイドルを追っている身としてはなんとなく知っていた。
それがどの程度の効果をもたらすかはさておき、気力も体力も失いつつあった私は、変化のきっかけとして藁にもすがる思いでピラティスを始めてみたのだった。

専用の台の上に乗り、先生に言われるがままに足や手を動かす。
この動きが何を改善しているのかもいまいち分からないまま、回数をこなしていった。
鼻から吸って口から出すピラティスの呼吸も、骨盤の動かし方も、慣れるまでは苦労した。
しかし、次第に効果は表れ始めた。
数回通った段階で背中を背もたれにくっつける時間が極端に減った。
さらに肩甲骨が柔らかくなり、胸が開くようになったため、必然的に肩に力が入ることが少なくなり、以前より肩こりが良くなった。

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それらは外見的変化にも繋がるようになった。
背中の贅肉が徐々に削ぎ落とされ、悩みだったぽっこりお腹も少しずつ解消されてきた。
何より素晴らしいのは、好きなものを食べていてもこの状況なので、食事的なストレスが全くないことだった。
体重に関しては大幅な変化はないものの、食事的ストレスがなく、かつ見た目が変わりつつあるこの状況で、体重の変化が少ないことは大した悩みではなくなった。
職場の先輩にも姿勢が良くなったと褒められ、自己肯定感の向上にも繋がった。
ピラティスによって心身ともに好転していくのがわかった。

ついこの間夏が終わりを迎えたと思ったら、徐々に肌寒くなってきた今日この頃。
これからの季節は服だけでなく、自身の体内にもついつい脂肪を着込んでしまう時期ではあるが、ピラティスを続けることで負けない自分を作っていきたい。
来年の目標を「痩せる」ではなく「痩せた体をより磨いていく」とできるよう、あと2ヶ月、駆け抜けていこうと思う。