このわたしがプチキャリアウーマンに憧れる。
そのきっかけを与えてくれたのは、他でもない今の職場と上司、同僚だと思う。

わたしは学生バイト時代から、どうしてか好きよりもおいしさ、都合の良さを選んで働きがちだった。
内気だったし、自分は働く女性タイプでは完全にない、と思っていた。
通勤に便利なところ。
駅直結のところ。
時給の高いところ。
深夜、休日など割増時給が出やすいところ。
暇そうなところや時間帯。
そんなことを面接を受けに行く判断材料にしていた。

◎          ◎

仕事とプライベートは別だし、だったら出来るだけ効率よく稼いで嫌なことは最小限にして、稼いだお金で楽しいことをしようという考え。
ただ、ほんのりと気になるやってみたい仕事はいくつもあった。
好きなことに関わりたかった。
わたしが休みの日に訪れるような場所で働いている人たちが、羨ましかった。
そこで楽しそうに働いている姿がとても、眩しかった。

わたしは文化的趣味が多い方だと思う。
美術館とか書店図書館、劇場など、何かの際には吹けば消えてしまいそうだし、順調な世の中のうちでもそんなに安泰な業界ではなさそうだ。
実際求人は少ないし有識者経験者優遇、しかも時給年俸は低いときた。
羨ましいな、その働き方は自分にできるかなとずっと悩んでいた。
それから、自分の好きなものに囲まれて働くような人は外見も内面も素晴らしい人であって欲しくて、わたしにはとてもとても務まらないと思っていた。
てきとうな働き方でも、できないなりにでも、もちろんいいのだけれど、自分の理想像と懸け離れるのは自分が嫌だった。

◎          ◎

最近になってどうしたものかとびっくりしている。
やっと少しずつ慣れてきた今の職場は、わたしの好きを取り扱う仕事。
時給は下がったものの、元気に出勤できる日数が増えたので、わたしの収入は倍以上に上がった。驚くべきこと。これは賢ぶっていた過去の自分の盲点である。
そしてなお働くのが楽しい。
割とつねに持ち帰り仕事を抱えているし、朝起きてから、帰宅して寝るまでもいうならば働いている。
頭は常に仕事に引っ張られている。
たまにナチュラルハイみたいに変な気分になる。急に頭を使いすぎているのだろう。
対して体の方はあまり使わないので、夜ぐっすり熟睡できているかというと若干悩ましい。
別にわたしは困っていないし、ここまで職場に強要されているわけでもないが。

その分もちろん成果を認めてもらえたような達成感も多い。
プロデュースできることも増えた。
お客様に応えられることも増えた。
笑顔でお礼を言ってもらうことももちろん増えた。
仕事のメールも増えた。依頼も増えた。

◎          ◎

わたしはバリバリ働く女性はかっこいいと思っていて、自分とは程遠いとも思っていた。
なよなよして泣き虫の自閉症には難しいこと、と。
そんなわたしが今は、バリバリ働く女性の半分でいいので、かっこよくなりたいと思っている。
そしてありがたいことに新しい目標ができた。
そこに向かっていくためには、まずわたしの苦手なアピールをしていくことが欠かせないと思う。
誰も見つけてくれないままでは良いコンテンツも企画もきっと意味がない。
ちょっと力のある人に引き上げてもらえるその時を夢見て、これからわたしはほんの少し、自己主張強めガールになる。頑張ろう。
たった今も大量の案件を抱えて半泣きであるわたしの宣言。