神社に行くとき、いつからか必ず神様にお願いしていることがある。
「不安なこと、嫌なこと全部無くなって、楽しい生活を送れますように」
勿論今年の初詣でもお願いしたし、春に行った鎌倉のお寺でも夏に行った富士山のふもとの神社でもした。何なら地元の小さな神社の前を通りがかるたびにお願いしている。図々しいかもしれないが、それだけ私にとっては重要なことだ。
この胸の内には色んな欲がたくさんあるけれど、突き詰めればそれらはすべてこの願いに収束すると思う。

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一度きりの人生、なるべく苦しまずに楽しく生きたい。きっと誰もが願うことで、それでいて叶えるのはとても難しいことだ。
別に楽しいことがない人生というわけではなかった。むしろいい思い出もたくさんある。それでも時々起こる辛い出来事が影を落として、それらを見えなくしてしまう。本当はもっと忘れずに、大切にすべきだったのに、もう思い出せない思い出たちがいくつもある。過去を振り返ろうとすると、一番に辛かったあの時期が思い起こされる。
こんなんじゃもう、無理なのかもしれない、あの願い事を叶えることは。そう、思っていた。

私にとっての2022年を一言で表すとするなら、“自由”だと思う。それはもうこれまでの人生では考えられないくらい。
5月、意を決してはじめて単身で大阪へ行った。それまでは一人でそんな遠くまで行くことなんて考えられなかったけど、好きなアーティストのライブを見るために新幹線に乗り、ちゃんと一泊した後観光して帰ってきた。
昨年度一年間は大学もオンライン授業だったため、ひたすら自宅で自粛、自粛。だから突如開けた視界は眩暈がするほど刺激的で新鮮だった。

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「あ、私何をしてもいいんだ」と気付いた。
無意識下で、自分は何も出来ない人間だと思っていた。時間が、体力が、お金がと様々に理由を付けて何もしなかった。だけど一度飛び込んでみて、自分が自由であることに初めて気付いた。私は何でも出来る。

そこからはもう止まらなかった。海が見たくなったら湘南新宿ラインに飛び乗り、星が見たいと思ったら高速バスに飛び乗った。
とにかく、行きたいところに行きまくった。会いたい人にも会えて、したい話を出来た。本当に楽しかった。勇気を出して行動してみてよかったと思う。

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「不安なこと、嫌なこと全部無くなって、楽しい生活を送れますように」
ずっと神様にお願いしていたことだ。ようやくそれが届いたのか、神様は確かに私に楽しい生活をくれた。でも不安や嫌なことがすべて無くなったわけではない。今でも些細なことに落ち込んだり悩んだりしている。
でも、それもまあいっかと思えるようになってきた。負の感情があるからこそ、楽しい時間を愛おしく思える。意外と、悩みも何もない人生の方がつまらないかもしれない。悩んでばっかりの人生しか歩んできてないから分からないけど、そういうことにしておこう。

それに今の私はもうどこでも行けるんだから。辛くなったらまた海でも星でも見に行けばいい。来年も良い年になるといいな。また神社にお願いしに行こう。