正社員という働き方から離れて3年が経つ。
私は学生時代アルバイトを経験がほとんど無く、土日は部活か地域のボランティアサークル活動に費やしていていた。働いたと言えば年末年始の郵便局での年賀状の仕分け程度だった。高校卒業後、食料品を扱う店舗でのレジの委託を受ける会社に入り、7年間過ごした。

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私の地域には受託先が3店舗だけで、他の地区に比べると少なかった。私が入社した頃は関西から中堅社員が来ていて、エリアマネージャーを担当していた。私の同期は3人だったが、2人はすぐに辞めてしまった。一つ上に1人いたが、聞くとその先輩にも同期がいたがすぐに辞めてしまったようだった。

私は学生時代、特に学びたい事も見つからず、なんとなく親に気を遣って就職した。
なんとなくという軽い気持ちで就職を選んだ為か、1社目は不採用だった。やっと危機感を感じ始めていたところ、担任の先生にこの会社を勧められて、その後ありがたいことに採用となった。
入社後の研修は関西で開かれて、1週間ほど初めてのホテル生活だった。研修ではチャキチャキとした50代くらいの女性の社員が担当で、さすが関西というような目立ってなんぼな雰囲気で進められた。自己表現が上手い子たちに圧倒されながら1週間の研修が終わった。
私はあまり自分から発言する事が苦手で、どちらかと言うと裏方が好きなので、この1週間の研修はどっと疲れた。

地元の地域に戻り、担当の店舗での研修が始まった。私の地区の店舗は接客に重きをおく店の雰囲気なので客数はあまり多くなく、のんびりとした時間もあった。取引先の人も優しくて、別会社だが一体感があって大好きだった。

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しばらくすると、他の地域で受託先が増えてきて、少しの間、新店の手伝いで出張でその店舗での業務をする頻度が上がってきた。
私は働き始めた頃、仕事はそれまで通っていた学校の延長線の様になんとなく働いていた。同期や他の地域の社員を見ているととても頑張っていて、なんだか距離感を覚えた。
出張に行くと、本部の人と関わる時間が増える。「取引先の人には一際印象良く」「積極性が1番大事」というような圧が掛かったような雰囲気に、私は萎縮しがちだった。
出張が終わり、元の店舗に戻ったとき、取引先のパートさんや店長と働ける事がとても嬉しくて、顔を覚えてくれているお客様との会話も楽しかった。
「私はこういう働き方の方が好きだ」と再確認出来た。丁度結婚を機に退職するタイミングだったので、その後の仕事は接客をメインに出来る事を探した。

その会社で正社員で働いている間は息苦しく、休日も心がなかなか休まらなかった。喫茶店でのパートなどを経て、今思うと根を詰めすぎて無理して頑張っていたのだと思う。苦手な事も克服しなければいけないと、無理をして出来る事や好きな事を伸ばせていなかった。会社の方針などもあるので、向き不向きは当然なのに、我慢して働いていた。
当時は8割が仕事で主体だった。今は子育て中で外では働いてないが、生活が主体でその中に仕事があるイメージだ。
毎日予測不能で思うように進まない事は仕事でもありうる事だ。そういう時、「やらなけばいけない」よりも「出来たらいいな」くらいに思っている時ほど物事がうまく進むと思う。仕事という物の中心に立って行動するよりも、一歩引いたイメージで行動出来るくらいの距離感が大事だと思う。