今の職場で働いてちょうど4年が経った。
初めてのバイトが19歳だったから、「働くこと」を始めてからは今年で10年になる。

19歳から2年間は和菓子店で9時から17時まで、人生初のバイト。
21歳の1年間は、教授の助手として同じく8時間働いた。
社会人になってからは約3年半金融機関で働き、今の職場で勤続4年を迎えた。
前職の間に約3ヶ月休職期間があったけど、それ以外はどこかに属して働いていたのだと思うとあっという間で不思議な気分になる。

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今も金融業界で人事や経理、営業事務から雑務まで様々な業務を担当している。
そんな働き歴10年で社会人歴7年の私が、働く上で大切だと感じたことが4つある。

1つ目は明るくいること。
2つ目は迅速に対応すること。
3つ目は先回りすること。
4つ目は意見も言うこと。

明るくいることは、接するお客様にとってはもちろん、そして自分自身にとっても大切なことだと感じる。
電話応対が多い私は、声色からお客様の気持ちを少しずつ感じ取れるようになってきた。
そんなある時、電話を取ると、いつも来電があるお客様から「あれ?いつも明るいのに今日は元気ないね」と言われてハッとしたことがあった。
その時は上司から心無い言葉を投げられ、女子トイレで涙を止めた直後だった。
私がお客様の気持ちを感じ取れるように、お客様にも同じように伝わってしまったのだと反省した。

また、自分の仕事を黙々としていると、「この書類の準備お願い」や「これってどうなってる?」など、上司や同僚から仕事を依頼されたり進捗状況を求められたりする。
そんな時、私は自分の許容範囲内で出来る限り迅速に対応するよう心掛けている。自分の仕事の緊急性が高ければいつ必要なのか期限を聞くけど、なるべく「頼まれたらすぐにやる」が私のモットーだ。

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そして、迅速な対応の先に見えてきたのが、先回りをすることだった。
今の職場で4年間働き続けた結果、上司からAの書類作成を依頼されたからきっとBも必要になってくるだろうなとか、明日はこれから上司が訪問する取引先のお客様の誕生日だよな、など頼まれた仕事の先まで少しずつだけど見えるようになってきた。
だからほんの少し先回りをしてAの書類にBの書類も添えて渡したり、「明日、〇〇社長のお誕生日ですよ」と伝えたりする作業を続けた。
そのお客様とは追加で新たに契約をしていただけることになった。今まで私のことを無視したりなじったりしていた上席の上司から「君のおかげだよ、ありがとう」と初めて言われた時は、些細な先回りだけどこつこつ積み重ねてきてよかったと心から思えた。

意見も言うこと、は今年の4月に昇進した頃からやっと実行出来つつある。
自分以外全員男性で最近まで自分の意見もあまり言えず、頼まれたことも断りきれず、どんどん自分の仕事が雪だるま式に膨れ上がってキャパオーバー寸前までいったこともあった。
だけど今までの頑張りが正当に評価され、昇進したことで自分に少し自信がついたのかもしれない。
私に出来ることは役に立ちたいから引き受けるけど、不可能なことや言われて嫌なことは少しずつ、まだやんわりとだけど拒否することができるようになってきた。これは今後も私が働く上での課題であり、意識し続けていきたいことの1つだ。

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これまでの仕事を振り返ってみる。
和菓子店でのバイトで、「ふくふく笑うあなたがお勧めしてくれたから」と私が勧めたお饅頭を購入してくださったご婦人の笑顔。
教授助手のバイトでは、「君が執筆作業を手伝ってくれたから無事に完成したよ」と執筆作業の助手をしてやっと完成した、教授が出版した書籍を受け取った時のこと。
社会人をスタートした金融機関では、「あなたが丁寧に説明してくれたから、将来のために積立を始めてみようかな」と、熱心に営業を続けた結果、お客様との契約に繋がった喜びを噛み締めながら職場に戻った夕方。
今年の4月に昇進を命じられ、社長から「明るく細やかな仕事ぶりは聞いてる、これからも期待してるよ」と中途採用では君が最速で昇進だ、と言われ、自分に自信がついてもっと頑張ろうと決意した朝。

私がこれまでしてきた仕事は、よくも悪くも「自分の代わりが利く」仕事だと思う。だからこそ、様々な仕事を経て今の職場で働いている。
切ない書き方になってしまうけど、独自の技術や資格を持って仕事をしている方や才能を持った芸術家の方々など以外のほとんどの仕事は、「代わり」が利いてしまう。だからこそ、私の仕事は引き継ぎをしていれば有給休暇をとることができるし、もし辞めたくなった時は、退職する決断もできる。そして研修期間がほとんどの職種で設けられているから新しい分野の仕事に挑戦することもできる。

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そんな「代わりの利く」仕事をしてきたけれど、振り返ってハイライトとして思い浮かぶのは「私だから」と、私の接客や応対で相手の役に立てて喜んでくれたり、「君だから」と自分の今までの努力や誰も気付かないような小さな先回りの積み重ねが評価されたりしたことばかりだ。きっと、「代わりの利く」仕事の先にいつも「自分らしさの付加価値」をどこかで追い求めながら私はこれまで仕事をしてきたのだと思う。

これからも今の「自分の代わりの利く」職場で、「私だから」できる先回りの気配りや「自分らしさ」なりの明るさや仕事の進め方を大切にしながら、微力だけどお客様や周囲の役に立てるように組織の一員として働き続けたいと思う。