手帳はアナログ派である私は、毎年ロールバーンの紙ダイアリーを愛用している。
日記も兼ねてつけるその手帳は、大体年に2冊必要になる。2022年後期の表紙は、水色の背景に黄色いレモンが書かれた、フレッシュで元気をくれるものだった。

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手帳を書き始めるにあたって毎年していることは、年間の目標を決めること。そして更にそれを四半期ごとに達成できる段階に分けて、更に毎月、毎週という風に定期的に見直しをできるように細分化している。
そうすると物凄くビジネスライクで、プライベートにまで仕事の不穏な雰囲気が入り込んでくるように感じて嫌気がさす。完璧主義には程遠い私の性格上、向いていないやり方なように感じることもある。それでも常にこのやり方を貫いているのは、確実に成果を残せていると感じるから。
日々のスケジュールは基本的に大雑把で、主に直感や、その場で生まれた生の感情を優先させている。それでもどうしても成し遂げたい事柄は計画的に、虎視眈々と達成のその瞬間を狙っていくのも私の好きなスタイルだ。

2023年前期の私の手帳には、オフホワイトの背景にメタリックな星座が描かれている。白昼夢のようで、今年の上半期に必要になる「大胆さ」のメタファーのようで凄く気に入っている。
この1年で私は2本の論文を書かなければならない。
それは1年前の私が恋焦がれた作業で、遂にペンを握る時が迫ってきた。
少しずつ書き留められていった計画書がその時期が近づいてきていることを教えてくれる。
しかし、どこか弱気になっていることが悩みだった。
様々な意見を聞けば聞くほど、知識を得れば得るほど、「無難な」計画書になっている。
だからこそ大胆さが必要。
「どう証明するんだ」そんなため息混じりの感想が出てくるくらい非現実的な。

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年齢を重ねるうちに少しずつ私たちの中で育まれる無意識。これが私の研究テーマ。
私たちは、養育者、学校、家庭、友人、バイト先など様々な場所に身を置くことで、先入観やリスペクトなどを持つようになる。無意識は本来形のないものだが、それが行動や言葉、選ぶ道で目に見えるようになる。
私は心理学ではなく、教育社会学の視点から、その無意識を掴もうと試みている。
専門知識もなく、社会人として働くうちに首を傾げたくなった出来事からこの思いは生まれた。
女性として生きることが、社会に出て初めてどういうことか分かってきたから。
ただハイヒールや化粧を押し付けられるだけではない。生活をするために、お金を稼ぐために社会の一員としてそこに存在するだけで背負うものが見えてきたから。
そしてその重みが人の心から生じさせているのではないかと考えるようになった。
それが無意識で、一見牙はないように見えるからこそ、面白いと思った。

白地に描かれた煌めく星座。星座の背景は黒か青でなければならないなんて、誰が決めたのだろう。星は夜にだけ現れるわけではない。昼は太陽の光で見えないだけだって、本当はみんなが理科で習っている。
現実で起こっている出来事を、でも大多数の意識で捻じ曲げられて不可視化された出来事を、私は浮き彫りにする。
それが2023年の私の宣言だ。