私は静岡県静岡市出身だ。
山もあるし海もある。静岡駅周辺は商業施設が充実していて、買い物には困らない。居酒屋やバーもたくさんあるから夜も楽しめる。お茶も地酒も海鮮も美味しい。
静岡駅から半径3km以上離れると、車なしの生活はやや不便であるが、中心地に住むなら出身だというひいき目なしに住みやすい街だと思う。
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しかし、寂しいことに静岡からの人口流出が止まらない。
主な原因は若者が出ていってしまっていることだ。進学を機に静岡を出て、そのまま他県に就職する人は多い。かく言う私も大学進学を機に静岡から東京に引っ越した。
進学において、都会の魅力は絶大だ。地元の大学に魅力がないわけではないが、行きたい学部はなかった。静岡で18年間育った私は、何となく東京というものに憧れを抱いていたし、違う土地に住んでさまざまな人と出会いたいとも思っていた。
ありがたいことに、親も地方の国公立大学に行くより都会の私立大学に行ったほうが、ネームバリューがあって就職に有利ではないかと、東京へ行く背中を押してくれた。きっと、私の他にもこのような理由で静岡を出ていく18歳は多いと思う。
おまけに、静岡という立地は東京、名古屋、大阪や京都も新幹線一本で行ける。東京、名古屋までは約1時間。大阪も2時間くらいで着く。帰りたくなればすぐに帰省できるから、引っ越すことへのハードルも低い。だから、進学を機に若者が静岡から出ていくことは止められないと思う。
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最も問題なのはそのあとで、就職する際に地元に戻ってこないことだ。
私は人生の仕事以外の部分も考えて、静岡の企業に就職した。一方で、高校の同級生の大多数が県外に就職した。大企業はやはり東名阪に本社があったり、全国転勤であることが多いから、そのような企業で働くとなると地元には帰れない。
大好きな静岡が衰退していくのは嫌だし、友達に地元に帰ってきてほしいと思うが、個人個人の人生と都合に焦点を当てると、東京や大阪で働いて暮らしたほうがいいだろうと思うことも多い。
入社後、私は新卒採用の仕事をした。学生に内定を出しても、東京の企業に就職するから辞退しますと言われることが少なくなかった。
企業の一担当者としては引き止めたいところだが、一個人としては、やりたいことやチャレンジできる環境がそこにあるなら仕方がないと思っていた。東京に本社があるような大企業のほうが業種や業務内容の幅が広く、取引先も多い傾向にあるのは否めない。全国的に名が通った企業で、給与も東京基準なら、ことさらそちらに就職したくなるだろう。
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人口流出は個人の都合が集まった結果だから、解決が難しい。実際に様々な人がその策を練り、実行して解決に至っていない。
もしかしたら、地方から人が消えていくことはもう止められないのかもしれないが、やはり大好きな静岡がだんだん衰退していくことは寂しい。
私は家族みんなでさわやかのハンバーグを食べたいし、服は静岡パルコで買いたい。居酒屋で静岡おでんをつまみに志太泉が飲みたい。思い出の詰まった楽しい街がいつまでも続くよう、何とかできないものだろうか。