「好きだから 好きだけど」
このテーマを見た時、すぐに「今の私のことだ」と思った。
今まさに悩んでいることが、「好きだから」悩んでいるし、「好きだけど」悩んでいるのだ。

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今お付き合いしている彼は、付き合って4年になる。
4年も付き合っていれば、気はどんどん合うようになるし、素の自分でいられる、安心感のある大切な存在。

なにより、私が4年もの間、ずっと好きでいられた人は初めてだ。
これまでの恋愛は、長くて2年半。
それも、だいたい2年経たないくらいで、私の方の気持ちが冷めてしまって、お別れすることがほとんどだった。
だから、「落ち着く関係」と「冷めた関係」の違いは自分でよくわかっていて、こんなに長い間、自分の気持ちが冷めないくらい、「好き」な人であることには、間違いはない。

私は今26歳。彼はひとつ下の25歳。
4年付き合っていることと、年齢、同棲していることも踏まえ、実は、彼の方からつい先日プロポーズをされたところだった。
普通なら、幸せで大喜びすべきところ。
でも、私は「好きだけど」素直に喜ぶことができなかった。

本当に彼と結婚していいのだろうか。
「好きだけど」、結婚相手として本当に大丈夫なのだろうか。
そんな想いが、実はプロポーズされる前から私の中に渦巻き始めていたのだ。

きっかけは、彼の部署異動だ。
急に残業や休日出勤が日常になってしまったことはまだしも、平日の飲み会が週に2回も3回もあるのが当たり前、しかも毎回終電を逃し、深夜の2時くらいにならないと帰ってこないのがザラになってしまったのだ。

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彼の生活が変わってからは、悩むことが多くなり、喧嘩も増えた。
そもそも、私自身そんなにお酒を飲むタイプではないし、時々の飲み会は楽しいとは思うものの、連日終電を逃すほど深夜まで飲み歩くことに、衝動的に嫌悪感を抱いてしまうのだ。

彼は「上司との付き合いだから仕方ないんだよ」とは言うものの、「いい歳して深夜まで飲み歩く上司」という存在にも、同様に嫌悪感を抱いてしまうし、何より、自分が風通しの良い会社でばかり働いてきたものだから、「上司と飲みに行かない奴は、仕事でも昇進の機会はない」という会社のシステム自体にも、どうにも理解ができない。

ただ、付き合っているだけなら、百歩譲って、
「そういう飲み方が嫌いなのは私の価値観だし」
「付き合っているとはいえ、他人。私がどうこう言うことじゃないよね」
と割り切ることができた。
付き合っているだけなら、どんな飲み方、どんな生活をしていようと、どんな会社で働いてようと、私が何か言うことではない、と思ってきた。

でも、結婚するとなると話は変わってくる。
部署によって、仕事量だけでなく飲み会の頻度や長さも決まってしまうなら、結婚しようが、いずれ子どもができようが、部署が部署なら同じ生活が続くことになる。
異動があって、束の間そうではない生活が訪れたとしても、また異動があれば、元通り。
夫であり、父親である人が、そんな生活をしていて、私は果たして我慢できるのだろうか、
と思ってしまうのだ。

私事だが、私の地元は関東で、彼の地元は九州。
私は今、九州で彼と同棲していて、結婚すればそのまま九州で暮らすことになる。
悩みを愚痴れる友だちもほとんどいない、頼れる親も近くにいない環境で、結婚相手が、休日も含め、ほぼ毎日残業か飲み会で家にいない生活。
そんな孤独な環境の中で、ふたりきりで生きていくならまだしも、子どもを育てていけるかどうか、不安で仕方ない。

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私個人としては、「絶対に子どもがほしい」とは思っていないし、むしろ子どもを持つことに、あまり前向きになれないという話は以前別の文章で書かせていただいたのだが、彼は、いずれは子どもがほしい、と言っている。

しっかり話し合いはすべきだ、とは思いつつも、最終的に彼のその思いを無視してまで、「子どもを持たない」という主義を貫くほどの強い想いが自分にあるかというと、そういうわけでもなく、もう少し時が経ったら、考えてもいいかもしれないとは思っている。
でも、そんな環境ならやっぱり、結婚はまだしも、「子どもは無理かも」と思ってしまうのだ。

ただ、よく考えれば、「その働き方や生活を変えるか、子どもを諦めるか」という二択を彼に突きつけることは、私の価値観でしかないことも、たしか。
私は、結婚したら、仕事も半々、家事育児も半々でやっていきたいと思っているけれど、逆に、仕事は完全にやめて、家事育児を、100%とはいわずとも、旦那さんよりは多く負担していく、という人生を、憧れ、もしくは当たり前、と思っている女性もいる。

残業や連日の飲み会で、ほとんど家のことや子どものことなんかしなくたって、「外で稼いできてくれたらいい」という考えの女性だって、いると思う。
「それじゃ嫌だ」というのは、あくまでも私の価値観で、それが正義ではない。

そう考えた時、彼が、今の生活を変えずに、でも子どもを持つことも諦めずにいられるような女性が他にいるのなら、「好きだけど」別々の道を選ぶことも必要なのかもしれない、と思うのだ。

逆に、私にとっても、「好きだから」という理由で、無理して自分にとっての理想の結婚生活を諦めるなくたって、相手に何か変えてもらわなくたって、理想に近い結婚生活を、自然と営んでいける相手だっているはずなのだ。

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「好きだから」すべてに目をつぶって結婚した方がいいのか。
「好きだけど」自分の意思や理想を貫いた方がいいのか。

「好きだから」早めに決断して、お互いにとってより良い相手を探した方がいいのか。
「好きだけど」未来のお互いの幸せなんかより、今の自分の「別れたくはない」の感情を優先させた方がいいのか。
簡単に答えは出ない。

そんな悩んでばかりの毎日の中でも、いつものように喧嘩は起こるし、幸せな瞬間もあって、「好きだから」と「好きだけど」を揺れ動きながら、時だけが進んでいく。
いつか、「そんな時期もあったな」って、過去の自分を笑ってやれるような、幸せな未来に向かえたらいい。

どっちに進めば、そんな未来が待っているのか、今の私にはまだ何も見えてこないけど、急いで決めるものでもない。
左右にも、前後にも、ぐらぐら心を揺らしながら、少しずつ、前に進めたらいいと思う。