自然と結婚を意識していたし、彼とも結婚を話題にしていた

2021年の初めは、ひと月前に付き合った彼氏と迎えた。
同じ職場で同じ部署。私と2つ年の離れた年下の彼だった。コロナの臨時休業のおかげで彼とたくさん接点ができ、会話をし、私のことを好きになってもらえたのだ。
まだ正職員にはなっていない彼だったけれど、一生懸命仕事に取り組んでいて、管理職からの評価も高く、とても魅力的な人。野球が好きで、学生の間はずっと野球に打ち込んでたらしい。
私が4月に異動するまで、一緒に働いた3か月間はとても楽しい日々だった。

4月に異動した職場は、前の職場から2時間離れたところだった。仕事上の決まりで、遠い地域に一度は勤めなくてはならないけれど、2時間離れたところであれば2年で終わる。2023年には以前の職場に近い場所に配属になる。2021年で27歳になった私は自然と結婚を意識していたし、彼とも結婚の話題をあげていた。

「2023年には一緒に住めるね」
付き合って半年しか経っていないにも関わらず、彼からもらったこの言葉に私は甘え切ってしまい、相手に自分の価値観を押し付けてしまうことが多くなった。同じ県内にいたから「1週間に1度は会える」「LINEは毎日できる」と、私はそれを彼に要求してしまっていた。
それでも飲み会があるから、と言われれば許したし、仕事が残ってるんだと言われればそれを受け入れた。月に2回しか会えなかったときもある。12月の1年記念日も会えないことがわかっていたけれど、悲しいけれど受け入れていた。

辛かった。自分の幸せを優先して相手に押し付けていた

スマイルで「いいよいいよ」と言っていたつもりだったけれど、そうとはなっていなかったのだろう。連絡も一日も欠かすことはなかったけれど、顔が見れないからだろうか。きっと冷たい返事をしていたときがあったのかもしれない。

「会えないからって嫌な顔をすることに耐えられなくなった」
「しがらみもなく仕事や飲み会にいけるようになりたい」
「自由になりたい」
「別れたい」
1年記念日を迎える1週間前、彼に言われた。

交際半年も経っていない彼から言われた「一緒に住めるね」の意思の弱さというか覚悟の薄さに愕然としてしまったけれど、学生気分で、半年で言えてしまうほど青い人だったのかもしれない。

そんなことよりも、彼の幸せな日々をつらい日々に変えてしまったことが辛かった。私は自分の幸せを優先して相手に押し付けていたのだ。私は幸せだったし、別れたくなかった。
でも、私が相手に別れを選ばせるほどの価値観の押し付けがあったのだろう。自分の感情を優先させたが故に、それで苦しんだ人がいた、というわけである。春の夜の夢のような1年だった。

彼のため友達と会う時間を減らしていた。きっと友達も減っていた

2022年は5年ぶりに1人で迎えた。新年を迎えて考えたこともある。春の夜の夢のような1年だったけれど、そう思えるほどに私は彼への気持ちが栄えていたことの証拠だ。嫌なところもたくさんあったけれど、常に同じ気持ちの高さで彼を愛していたし、一生一緒にいられるなと感じていたところもある。

コロナが第6波を迎える前の2021年11月と12月は、仕事もコロナ前に戻ってきていて、彼の忙しさも十二分に理解できた。飲み会が増えるのも当たり前で、そうなれば自然と私との時間はなくなる。将来、コロナがインフルエンザと同じような扱いになったときには、私との時間なんてほとんどないに等しいだろう。
だとしたら、彼と結婚して、子どもが生まれたら……?そこに明るい未来はあったのだろうか?彼のために友達と会う時間を減らしていた私は、きっと友達も減っていた。それは私が望む未来か?

そう考えると、2022年からの私はもっと自分のために、友達のために時間を使うべきである。彼よりもなによりも、自分と友達を大切にしたい。もし、次の彼ができたときには、「自分と友達と、たまに彼」ぐらいのいい塩梅で付き合うことができたらいいと思う。
1月に入ってすぐ、美容院、エステ、眉サロンを次々と予約した。オミクロン株が流行ってきたけれど、LINEで友達となら連絡が取れる。久しぶりの友達にも連絡してみようか。

彼と別れたことはきっと必然だった。彼が別れを切り出さなかったら、私からきっと別れを切り出していた。たぶん。