欲で塗れたこの世の中へ。欲を利用する私より。

こんな世の中に嫌気がさしたので、思うがまま不満を口にしてみる。
この不満が誰かの為になるとは思えないけれど、自分の気は多少済むだろう。
こういった話こそ誰かに話したいのだけど、綺麗に生きる友人や家族にはきっと理解してもらえないだろう。
だから私はここに言葉を残すし、同じような気持ちで過ごす子がいるならば是非この文を読んで心の中で一緒に「こんな世の中!」と、心の中で唱えて欲しい。

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あまりにもこの世界は欲に塗れすぎている。
はたまた私がそういう世界に生きているだけかもしれない。
可愛い女の子にチヤホヤされたい男、お金で若い子の体を買うおじさん、そしてそれを逆手に取って商売をする女。

私はそれの何がイライラするかというと、それを表面上の会話で"あくまで私は良心的な人間です"ということを取り繕おうとするところである。
「反吐が出る」という言葉がこんなにぴったり当てはまる感情はないだろう。

最近歯医者さんを変えた。
家から1分足らずの歯医者で、治療が終わり次第海外へ向かいたかった私は、出来る限り早く終わらせたかったし、極力従順な患者になった。
歯の掃除で終わる診察の日なんかは、なぜ治療をしてくれないのか疑問に思う日もあったけれど、そういう商売方法なのかと無理やり納得させた。

先生との合間合間の会話で、恋愛話が出ることもあり、おじいちゃん先生にしか診てもらったことのなかった私は疑問に思ったけれど、相手が若いからだと、これに関しても無理やり納得させていた。

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ところがある日、外で遊びませんか?とメモを渡された。
なんと返すべきか悩み、「あーえーっとそんなつもりはなくて」と、言葉に詰まっていると、彼はぼそっと「せっかく色々してあげたのに」と、言った。
それが歯の治療を指してなのか、それ以外のリップサービスを指してなのかは分からない。
けれど、どんな意味であれ歯の治療だけして欲しかった私からすれば、どちらにしてもありがた迷惑でしかない。

というよりもここは職場なのだから、大前提としてきっちり仕事だけをして欲しい。
どうして彼は治療が残っている段階でそんな言葉を私にかけることが出来たのか、どうして彼は下心が故のサービスを、これは優しさですと言わんばかりの顔をしながら行ったのか。
事実を知った上で考え直すと尚腹立たしい。

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話は変わり、3ヶ月ほどオンラインで韓国語のレッスンを受けていた。
その先生とは韓国の情報サイトで知り合い、週に2時間を2回、テレビ電話を通じて様々な話をし、先日韓国に行った際、初めて会った。
一人旅ということもあり、先生に車で一日案内して貰った。
テレビ電話を通じてたくさん話したせいか、とても気楽に、そして楽しく過ごすことが出来た。

そして別れ際、韓国の首都ソウルまで特急列車で1時間、時刻は10時前。
彼はしきりに終電を聞いてくる。
なんとなくこの時点で嫌な予感はしていたものの、私は時刻表を見せながら大丈夫とひたすら言い続ける。

決定打を打たれればキレてしまうかもしれない。
そんな思いがあり、この辺りで察しておいてほしかったのにも関わらず、ソウルの地下鉄はややこしいから。だとか、夜道は危ないからだとかいってくるが、こちらは聞く気は一切ない。

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観念したのか彼は、
「特に深い意味はないんだけど、夜遅いからうち泊まってけば?」
と、言った。
あぁ……。
自分の中の最後の糸が切れた。
深い意味がないなら、そもそも初めから泊まりにおいでよというだろうし、本当に心配ならソウルまで送ってくれるはずだ。
私が逆の立場ならそうするだろう。
結局優しさで案内してくれたのではなく、彼はその後を期待して一日を過ごしていたのだ。
そしてそれはどう考えたって下心でしかないのに、それを隠すべく、終電やらなんやら理由をつけて自分はいい人の面を被ろうとするのだ。

馬鹿馬鹿しい。
歯医者さん然り下心があるなら、イチャイチャしようよ!なり、好きだからもっと一緒にいたい!なりストレートに言ってくれればいいものを、どうしてそのやましい心をありとあらゆる言葉で隠していい人になろうとするのだろうか。

そんなことを思い出している新宿のカフェでも、スーツを着たおじさんと黒髪に前髪ぱっつんのいかにもな女の子が、パパ活のファーストミーティングとも思しき会話をしている。

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「えーすごーい」
「だから今度そこのホテルに連れて行ってあげるよ!レストランが最高で」
この会話も直訳すると、
「褒めたからお金頂戴」
「美味しいご飯連れてくからそのあとは分かるよね?」
だろう。

辿り着く先は同じなのに、なんとかして綺麗な言葉で取り繕って、さぞかし自分はクリーンな人間です!みたいなアピールをする。
結局人間なんて欲ありきでしか動けないのに。

そして何より馬鹿馬鹿しいのは、その欲の上で自分の生活が成り立っているということだ。
これを書き終えた後、私はそんな欲まみれの世界で、みんなの欲を満たせるような綺麗なお姉さんになり、自己承認欲求を満たす声をかけ、そして自分の欲を満たす為のお金を手に入れるのである。

人に散々馬鹿馬鹿しいと言いながら、自分自身も「お金ちょうだい」を「〇〇さんって本当素敵」という言葉に変え、生きているのだ。

悲しいことにどれだけ嫌気がさしたって結局この世の中は、そんな欲のおかげで成り立っているのである。