未来の私は、趣味のダイビングを楽しみながら、日常のあらゆる事に疑問をもち、自分の感性を大切にできるエッセイや童話を書く、物書きになっていたい。
宮沢賢治のような幻想的な世界観と、谷川俊太郎のような言葉選びと、星新一のようなオチの付け方で、あっと誰もが驚くものを書く。また、絵の腕も磨き、消しゴムハンコ作りにおける彫刻刀の使い方も多様になり、少しでも売れるものを作れるようになっていたい。
「the・自分らしく」をモットーに生きている未来の人間になっていたい。
自分らしく生き、自分の時間を大切にし、愛猫を養えるぐらい稼げるようになるには、今をどう生きるかが大切である。

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「自分らしく」という言葉は、今の世の中でよく聞く言葉だ。
私は自己肯定感が低く、無意識に誰かと自分を比べてすぐに落ち込んでしまう。趣味であるお絵描きも消しゴムハンコ作りも今、頭を振り絞って打ち出している文章もそうだ。オリジナル製のない作品、語彙力の無い文章、唯一無二を求めれば求めるほど、私は落ち込んでいく。
しかし、手を動かさなければならない。何故なら落ち込んでも何も生まれないし、嫌になって手を抜いている間に時間が過ぎていき、他の人に抜かれてしまうかもしれないからである。継続は力なり。だから、私は手を止められない。

肩の挙がらない窮屈なリクルートスーツを着て、個性を失った髪型で、歩き辛い靴を履いて辿り着いた仕事場に、自分の個性は今、出ているだろうか。仕事で落ち込むたびに「自分らしく」という言葉が脳裏によぎる。知らぬ間に起きた問題への謝罪や、何気ない客の言葉に傷つけられる度に、自分が削られていく感じがしている。

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泣いた瞬間、壊れてしまいそうな脆い社会人である。恐らく今の自分は、無個性人間だ。
子どもの頃は、純粋に想像した事や見たものを自分の絵で表した。だから褒められると嬉しかった。しかし今は、不器用な人間関係時代を経験し、焦燥から生じた将来の不透明な進路先、ネットに溢れる他人の衝撃的な作品で憂鬱な気分になり、さらに自分らしさを失っているように感じる。
だが、未来の自分はどうなっていたいかを想像すると、失った気がする個性を取り戻す為に出来る事から始めなければならないと思う。それに、これらの経験が私に社会人としての自信をくれたのも確かだ。

未来の自分を作るのは、いかに今の自分がどう生きたかが関係してくる。忙しい日々の中で、少しでも多くの場所を訪れ、多くの食に触れる。
子どもの頃、イケアで青いロールケーキを食べた。凄く美味しかった。その美味しさを友達に「美味しいからイケアに行ったらぜひ食べてみて」と勧めたところ、青い食べ物は食欲をそそらないと断られてしまった。
先入観で拒否する人々にいかにして青いロールケーキの美味しさを伝えられるかが、文章作りの面白さである。そして私はそれを上手に伝えられる文章の世界に憧れをもった。たった数文字で人に感動を与えられる。その面白さを私も使えるようになりたい。

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再来年は一旦仕事を辞め、学業に専念するつもりだ。ハローワークのウェブデザイン講座にも参加して、絵の腕を磨きたい。もしかしたら新しい自分に出会えるかもしれない。
数か月外国に留学し、コミュニケーション力を高め、異文化にも触れ、世界の面白さを知るのも良い。自分の足でどこかを訪れ、それに対する感性を磨く事で、私が求めている「自分らしさ」が見つかるかもしれない。

海の中の世界の面白さを伝えるエッセイスト、鉄道の魅力や感動した世界を伝えるエッセイスト、出会った動物達の気持ちになって童話を作る童話作家。私の手から生まれた世界に一つしかない消しゴムハンコ。最近は、一日一個消しゴムハンコを作っている。絵も時間を見つけて描いている。文章を生み出す行為も、書けそうな内容から挑戦している。私の人生においては小さな一歩だが、未来にとっては大きな一歩である。

一つひとつの経験を大切にし、本当の唯一無二の自分らしい人間として生きられるように今日も私は身体を動かす。