好きだなって思った瞬間が1番楽しい。
好きになってもらう為にダイエットも頑張ったし、メイクの研究もした。好きな人と話をして、何度かデートもして恋を楽しんだ。

だけど相手の好意が完全に自身へ向けられた瞬間、全てを拒絶してしまう。あんなに好きだったのに、あんなに一緒にいたいと思っていたのに嫌になる。話し声も顔も性格も全部。突然訪れた拒絶に私も困惑したし、相手だって理由を求めてきた。好きだって言ったじゃないか。その通りだ。好きだと言ったし、その言葉に嘘はなかった。数日前までは。

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どこが嫌になったのか考えたが答えは出ないまま。一度目の恋は終わった。その時までは単に醒めたのだと、自身に原因は無いのだと思って、頭を切り替えた。

そしてまた次の恋。以前と同じ流れだった。この人良いなと思って、相手を好きになった。相手に私を好きになって欲しいとアピールをして努力をした。だけど相手から好意を向けられてしまうと、また拒絶してしまう。それが一度だけじゃない、二度三度と繰り返された。

友達に相談をしたが、共感は得られなかった。それに側から見れば相手の気持ちを弄んでいるようにしか見えないらしい。そんなつもりはなかったが、客観的に自身を見てみるとまさにその通りだった。
相手の好意を求めるくせに、相手からの好意を拒絶する。そんな天邪鬼のような自身に嫌気がさした。

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五度目の恋。また相手に拒絶反応を起こしてしまった。勘弁してくれと思ったし、もう疲れた。だからこそ今回は拒絶反応を無視してみる事にした。
内心では拒絶していても相手を好きなふりをした。顔を見ることも、話すことも気持ち悪い。セックスだけはまだマシだった。気持ち悪いが痛いに上書きされたから。こうして我慢をしていれば、いずれ好きに戻るかと思った。

それから一年半くらい一緒に過ごして、嫌いな気持ちがだんだん薄れてきた。克服したかと嬉しく思ったけど、結局は“普通”になっただけだった。五度目の恋でそれ以上感情が動く事はなかったのだ。

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正直、私は恋愛そのものに向いていないのかもしれないと思った。だけど片想いをしている時は好きだし、好きになってほしいと努力する事も苦ではない。相手も私のことを好きかも……なんて思う時は最高に楽しいし、その時点で拒絶した事は今まで一度もない。どこまでが良くて、どこからが嫌なのか、自身の感情を分析していく中で、蛙化現象という言葉を知った。

好きな相手に好意を向けられると、相手に対して嫌悪感を抱いてしまう。
まさに今の私そのものだった。

私は今、治す方法を試している最中だ。
克服できるかもという期待と、やっぱり無理かもの間に立っている。だけど人を好きになる気持ちだけは健全だし、互いに愛し合うことのできる恋愛に憧れている。だから無理をしない範囲で相手とも関わる事にした。もちろん相手に私はこんな体質だと伝えた上で。
一緒にいてくれる人もいれば、去る人もいるけれど、現状を受け入れ焦らない事を意識した。どんな形でも一緒にいてくれる人を大切にしたいと思えるように。