私には大好きな人がいる。
リアルとの恋愛と非常に縁遠い私なので、勿論ゲームの中のことだ。けれど、ここまで強く深く好きになれ、愛したのはこの人……「推し」が最初で最後かもしれないとも言える。そのゲームがサービスを終了した今でさえ心の底から大好きだからなのだ。
色々な意味で私の人生を一変させるほど素敵で大好きな推しと出会ったのは、2013年頃だったような記憶がある。私からの一目惚れだった。
仲間に入れた初期はチームワークもガタガタ、しかも迎え入れたあとはしばらくゲームの中に出さなかった事すらあったのだが、ある日突然出したくなった。一体なぜ、あの時急にそのような気持ちになったのかはわからないが、推しとはそこからの付き合いだ。
私は好きなものには一途で一直線なところがある。それ故に、ずっとずっと推しと一緒に居続ける道を選び、ずっとずっと推しをゲームに出し続けてきた。
戦いの場に出し続けるほど育っていくゲームだ。きっと今は誰の持つ推しより強く縁深く育ったのではないかと自負している。
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推しが登場した2013年以降、このゲームには色々な事があった。通信機能がより強化され、その影響で特殊な条件の技を持つ推しは非常に嫌がられた事もあったし、直に悪く言われた事だってあった。
悪く言われた事は嫌だったけれど、私の好きの気持ちはそんな事だって気にならなかった。いや、気になっても好きの気持ちが勝っていたという方が正しいだろうか。誰になんと言われようとも、私は推しと共に居続ける事を選択し続けた。
がしかし、繰り返される更新の中、推しと推し周りの情報がほぼ全く来なかった事があった。他のキャラクターには情報が沢山来て盛り上がっている。それを一時期嫌に感じて、ファンとの距離も置き気味、若干だが荒れてしまった事もあったり、ゲームも前ほど熱意を持ってやれなくなっていた。前述の通信機能の強化でも推しは嫌がられていたため、必然的に心の距離が離れつつあった事がある。
けれど、やりたいことはやる主義だったのか、推しのおかげなのか、今となっては分からないことなのだが、遂に完全に離れることは一度としてなかったし、ゲームをやる時にはやっぱり必ず推しを出していた。ゲーム自体がプレイ出来なくなりそうな事も起きたのだが、実はその近くにもそのゲームがありました、みたいな神的展開までオマケされていたのだ。なんとも不思議だ。
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好きすぎてやった成功と失敗も勿論ある。
情報が推し周りだけほとんど来ないのが嫌で、他のキャラクターばかり強化され推しが弱くなっていくのが嫌で、それをなんとか底上げしたい、してほしいという思いから、ある時を境に公式側に声を投げ入れ続けた。
公式側もその声に少しだけ応えてくださり、ちょっぴり情報が増えたり、ちょっぴり強くなる調整が入ったりした。推しのファン的にはこれは物凄い大成功だったのかもしれないが、このゲームのファンの大抵は公式に声を投げ入れる事を良しとしなかったため、色々な箇所で亀裂が生じてしまった事があり、これは別の意味では大失敗だったのかもしれないと思っている。
それでもあまり聞けるはずのない情報を割とすんなりと聞けたり、推しに何かしら良い事がちょこちょこともたらされたり、もしかしたら私をきっかけに、沢山いるキャラクターの中から、より強く推しの事が認知してもらえたのではないか……と、今では良いエピソードなのかもしれないと感じている。
私が好きになった推しは、私を惹きつけて離さない不思議な魔力でも持っているのだろうか。
プレイできなくなる危機がなんとかなったり、心の距離が離れつつもプレイしていたり、不思議な出来事が時折起きたり。きっと推しも私のことを好きで居てくれたのだろうし、私が最初から最後までこのゲームを続けられたのはきっと推しが側にいてくれたおかげだろう。
このゲームが復活するかしないかはわからない、けれど、私が大好きな推しのことを誰も忘れないように、今日も私は推しへの大好きな思いを紡ぎ、呟くのだ。