4回。
これは彼と4年付き合って、行為をした回数。
気付けば俗にいうプラトニック・ラブまがいのような恋愛になっていた。まがいというのは、わたしは性欲が強いほうだからだ。

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べつに行為をしなくてもいいとは思っていない。むしろ、好きだから行為をしたいと思う、どちらかというと男性のようなタイプである。だから、好きな人がいて、付き合っているのにできないということがストレスでしかなかった。よなよなひとりで泣いていたこともあるくらい。どうして、わたしたちはしなくなったのか。それは付き合い始めてから初めて迎えた、わたしの誕生日に原因があった。

誕生日ということもあり、仕事を休んで旅行に行っていた。付き合ってから半年。このときも行為はしていない。そろそろできるのではないかと、そわそわしていた夜。
「おやすみ」
いつも通りの挨拶に「ああ、こんな日でもやっぱりないのか」と心の中で期待が崩れ、静かな夜にやりきれない気持ちと寂しさを迎え、拗ねた顔も見せたくないと彼とは反対のほうに身体を向けて寝ようとした。
「こっち来ないの?」
「いやいや、おやすみっていうたやん!」と心の中で照れ隠しの突っ込みをつつも、彼の布団にのそのそともぐりこんだのを覚えている。

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なにせ久しぶりにできた彼氏と初めての行為。身体と心は繋がっているので、いつもよりも生理が遅れていた。あまりにも不安になっていたわたしをみて、彼はもし赤ちゃんができていたらと想像したのだろう。

「もし、できてたらどうする?」
「さすがに産めないよね、しかたないよ」
わたしの答えに彼はショックを受けたらしい。そんな言葉を恋人に言わせてしまう自分が情けないと思ったらしい。
「責任とれるようになるまではもうしない」とは言われなかったけど、これを機に全くしなくなった。

ある日、お酒も飲んで、お互いしたくなるような気分になったときがあった。避妊具が家にないので、お酒とついでにコンビニへ買いに行き、お風呂まで一緒に入った。久しぶりにしたいと思ってもらえたのが、すごく嬉しかった。少しどきどきしながら支度を終えたわたしが部屋に戻ると、彼は爆睡。これにはもう心底悲しくて隣で号泣。

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最近、お腹にてんてんと茶色いシミが増えてきてしまった。今生きているこの瞬間が一番若いのに、相手もいるのになんでできないんだろう。愛されていないわけではないけど、わたしの恋愛の中に行為をしないという選択肢がなかったから余計にわからなくなった。

月日を経て、何回も話し合いをした。お互い泣きながら、気持ちを伝えたときもある。
結果、危ない日といわれる日は避けて、お互いしたいと思ったときにしよう。そんな結論に至った。
だけど、なにせお互い仕事をしていて一人暮らし。お休みの形態も合わないから、しようにもできない。
かろうじて、タイミングが合って重ねたのが数回。
平均して年に1回していれば、いいほう。

物足りない。だけど、浮気をするのはさすがに罪悪感がある。ただわたしが性欲を持て余しているだけなら、女性用の風俗を使ってみるのはどうだろうとふと頭によぎった。
べつにサービスを受けに行くだけだ。お金を払ってマッサージをしにいくことが普通なのだから、何が悪い。

そう思い、行くならここだというサイトをお気に入り登録にはしてある。現状は推し活への資金を削るのが嫌で、行ってはいない。

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ドラマにあるような結婚して、普通に過ごしてはいるけど、実は引き出しの中に離婚届を持ってますみたいなものと一緒だと思ってる。好きだけど、押しつけ過ぎはよくない。お互い同じくらいの欲があれば違うのだけど、比重を置く部分は人によって違う。女でいたいがための切り札が使われないことを、願うばかり。